日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230408 ハンデルスブラット紙はドイツのマイナス成長を予想

 

 https://www.handelsblatt.com/downloads/29080846/4/2023-04-06-hri-konjunkturprognose-lang.pdf

 

ドイツの今年の経済成長率については、他の多くの経済研究所が+0.2~0.3%の小幅プラス予想で収斂しているのですが、ドイツ経済専門紙ハンデルスブラットの付属機関である「ハンデルスブラット研究所」(HRI) は今年▲0.2%、来年+0.9%とかなり弱い予測を出してきました。

 

以下リュリュップ所長のコメント抜粋です。

  • 2022年第4四半期のGDPが前期比▲0.4%と縮小した後、今年第1四半期も同程度のマイナスに陥った可能性が高い(統計のマイナスの下駄が大きくなるので、これで通年成長率を大きく下押しする)。
  • 輸出経由での海外経済からのサポートも今回は期待薄。
  • 成長モメンタムの回復は春以降になるが、力強さはない。
  • 来年も+0.9%成長どまりとなる見込み。
  • コロナ、インフレ、ウクライナ戦争のトリプルパンチにより、被用者と年金受給者が特に貧しくなった。金利高もあり消費は圧迫される。
  • 建設は去年も含めてずっとマイナスが続く見込みで、政府が目指す年40万個の住宅供給などとても無理。
  • 利上げのブレーキが効いてくるのに3~6四半期かかるので、経済にはこれからまだブレーキがかかる。
  • コロナ前の水準に戻るのは今年の終わりごろになるので、2020~2023と4年間もの間、成長を失ったことになる。このような長期停滞は戦後ドイツに例がない。
  • ドイツ経済の低迷は、ユーロ圏経済の足を大きく引っ張ることにもなる。
  • インフラは老朽化し、デジタル化は遅々として進んでいない。さらにエネルギーコスト高のため、ドイツ企業が海外に移転するリスクが高まっている
  • ドイツ政府がこれまで無策だった報いを受けている格好。産業立地面で今後勇気ある対策が打たれなければ、ドイツ経済に真のブレーキがかかるだろう。

 

<主要計数>~建設、投資、個人消費が弱く、今年のインフレも低め

 

 

その後発表された、IMF世界経済見通しでも、今年のドイツは▲0.1%とマイナス成長になっていました。