日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20250126 週末のBloombergより

https://www.cmegroup.com/markets/interest-rates/cme-fedwatch-tool.html

 

www.youtube.com

トランプ大統領は就任早々から、原油価格押し下げに動くとともに利下げ要求を公言(再び、オレの方が金利のことがよく分かっている、とも)。
◆しかしドル金利市場の反応は乏しく、追加利下げは年後半に一回(インフレOKならもう一回)、10年金利は4.6%近傍で横ばい。
FEDの独立性は法的にそう簡単に脅かせない。トランプの利下げ要求がパウエル議長の判断を鈍らせることは想定しづらい。実際に来週の利下げ確率は微塵も上昇しなかった。
◆長期債には警戒的なショートポジションも相応に入っていると思われるが、財政の悪材料が出ると簡単に5%を試しに行くリスクもあり、簡単に買いから入れない。当面は現行レベルでのレンジ推移が続きそう。
◆今回のダボス会議では多くの参加者がどちらかというと前向き、楽観的な議論を重ねていた。
社債スプレッドは引き続き非常にタイトで、それ自体は魅力に乏しい(米IG: 78bp / HG256bp)。しかし、金利水準が高く、デフォルトも増えないのでHYのキャリーによるパフォーマンスが良好。
◆逆に、クレジットクオリティを下げてもイールドがさほど上がらない(クレジットカーブがフラットな)ので、積極的にダウンインクレジットのリスクをとりに行くべきではない。証券化商品(CLOなど)のAAAトランシェや一部の優良オフィスの方に魅力的な投資チャンスあり。
◆来週は水曜のFOMC(据え置き)、木曜のECB(▲25bp)、金曜の米コアPCE(+0.3%/+2.5%)に注目。

 

youtu.be

◆今回のカリフォルニアの大火災の保険金は200億ドルと過去最大になる可能性が高い。しかし、近年のこの種の自然災害リスクは、保険、再保険、CATボンド投資家などに広く分散されており、保険金/保険業界としてはmanagable(但し、保険でカバーされていない莫大な損失は被災者や政府にとって極めて重い負担)。
◆保険料がCPIを上回る急上昇を続けているが、これは気候変動分というよりはインフレ高騰によるコスト増による部分が大きい。
◆コスト削減圧力に晒され続けている地方政府の消防組織には複数の山火事に同時に対応できるようなキャパはない。給水面のキャパにも限界がある。
◆街を再建するにしても、同じような火事に襲われるリスクが下がっていないと意味がない。経済的理由もあって人々は危険なところに同じリスクのまま住み続けており、行政も適切な都市計画を実践できていない。
◆今回の山火事はあまりにも被害が大きかったので、人々や行政が反省し、議論を始めるきっかけにはなっている。
◆歴史を振り返ると、テクノロジーがバブルや金融危機を防ぐのに役立つということはほとんどなく、むしろそれらを助長してきた。今回のAIもバブルや金融危機の回避に役立つかもなどとは考えない方が良い。
◆1971年にスタートしたダボス会議は、その後テーマが多岐に渡るようになり、反グローバリスト(極右政治家など)も宣伝の場として喜んで駆けつけるようになった。
◆米国は金融や経済で支配的地位を強める一方、中国は不動産バブル崩壊や過剰債務問題などの内なる課題への対応に追われている。米中間の対話や交渉が何かと成立しづらくなってきている可能性がある。
◆トランプ政権はまず不法難民の大量国外追放に最優先課題として着手した。
◆しかし、オバマ政権下で4年かけて40万人の国外追放をしただけでも、人手不足は深刻になる一方で、米国人の雇用が増えたわけでもなかった。不法移民と米国人が好む職種がずれているため。
◆移民を追い出せば個人消費(の過熱)が減り、インフレ圧力を減じる部分があるのは確かだが、農産品を中心に低コストの供給サイドを減らすので、ネットではむしろインフレを加速する可能性が高い。
◆米国の州の中でノースダコタ州では最も人手不足が深刻。100の求人に対し、30しか埋まらない状態が続いている(全米平均95/100)。他州からの人で確保や移民の積極活用に全力を注いでおり、移民は希少な労働力。
◆健康志向の高まりとともに若者がアルコールを飲まなくなってきており、1.6兆ドル規模のアルコール飲料業界が転機を迎えつつある。
◆アルコール全体の売上が年々減少する中、ノンアルビールは伸びており、米国ではビールの中の1.5%を占めるようになった。
◆英ロイズの女性CEOが勤務時間中(ランチタイム)のアルコール禁止を最初に命じたときは、メディアで大きく取り上げられ、客や従業員から大反発を受けたが、その後すっかり定着し、ロイズのオフィスの周りのパブではノンアル飲料が急速に普及した。