日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240720 週末のBloombergより(トランプトレード本格化など)

◆インフレの落ち着き、景気の減速、FED高官の発言トーンから、市場は9月開始(確率98%)、年内2回+αの利下げへの確信を深めつつある。

◆9月18日のFOMCまではまだまだ時間があり、それまでに多くの重要データをこなす必要があるが、その確信はそう簡単には揺らぎそうもない感触。
米国債利回りの2年/10年スプレッドは▲27bpにまで縮まっているが、今後のFEDの利下げによる短期金利低下圧力とトランプの経済政策(関税・減税、移民追放、FEDへの利下げ要求など)による長期金利上昇圧力のため、年末頃にはプラ転する可能性が高そう。

◆トランプ2.0の場合、米財政サステナビリティへの懸念やFEDへの利下げ圧力(議長の任期前解任まではやらないまでも)をきっかけに、折しも産油国BRICS諸国などで高まりつつあるドル離れの流れを加速するリスクがある。
◆消費者にしろ企業にしろ、そろそろ弱い部分が持ち堪えられなくなりつつある。今後は全体の平均を見るのではなく、こういった弱い部分を取り出してよくみておく必要がある。
◆中立金利が結構上がっている可能性もあり、米長期金利が今後どんどん下がっていくと期待すべきではないが、直近のインフレ最悪時でも10年金利が5.5%で止まったことは意識しておくべき。
4%台の絶対金利水準は決して低くないので、この5.5%を背に債券投資をうまく組み立てることは十分可能なはず。
◆年前半は金融債を中心に社債発行が予想以上に多かったが、金融システム不安後の銀行の流動性確保は一巡しつつあり、今後は一般事業債が増える見込み。
FED利下げをきっかけにリテール投資家が積極的に買い始める可能性がある上、今後は利払いや償還などを差し引いたネット発行額はマイナスになる可能性もあり、需給は引き続きタイト。
 

 

 

◆ビジネスにおいてある程度の規制は必要だが、近年は立法サイドだけでなく司法サイドまでが個人や地域などの政治的事情で規制の内容や適用の判断をコロコロ変えてくるようになっている。
◆競争法の規制も重要だが、M&Aなどの許認可の判断に半年ではなく2年もかかっているようでは、どんなCEOでも責任ある会社運営は不可能になる。
◆米国経済が引き続き優位を保つためには、移民をうまく活用しつつ(中国や欧州ではこれが全然できていない)、規制の行ったり来たりをやめ、許認可を迅速にすることが大切。
◆パウエル議長が予告している通り、銀行の資本規制と流動性規制は当初のバーゼル合意よりやや緩和される見込み。オペリスクの計算方法も修正される可能性あり。但し方向性としてはトレーディング締め付け、年内に固まる可能性は低い。
共和党バンス副大統領候補は、銀行に厳しいスタンスながらも、銀行業に精通している。銀行界としては政権交代を機に政策変更をうまく交渉するチャンスになりうる。
ヘッジファンドやプライベートクレジットなどのノンバンクに関して、当局はまだ十分なデータを把握していない。銀行とノンバンクのお互いに対する影響度が年々高まっているので、まず当局のノンバンクに対するより深い理解が重要。
◆暗殺未遂を生き延びたトランプが勝利する確率は7割くらいになっており、投資家もトランプトレードを本格化し始めた
◆ビジネス会がトランプへの支持を高めているのは、トランプが減税してくれそうなだけでなく、大胆な規制緩和をやってくれそうだから。
◆高金利にも関わらず米経済がここまで堅調なのは、バイデン政権の巧妙なインセンティブ付けによって、半導体、AI、再エネなどへの投資が非常に活発なため。これらは将来の生産性向上にもつながる。
◆特にAIはすでに企業でもかなり活用されており、まだ十分なデータの裏付けはないものの、生産性の顕著な向上に貢献している可能性が高い。
◆好調な経済にも関わらず、多くの米国民が政治に不満を募らせているのは、移民とインフレのせい。
トランプが提案している関税は、そのまま導入されるものではなく、相手国と米国の利益に適うディールを実現するための手段。インフレなどを通じて実質的な米国民の負担となるものではない。
 
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