日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20210629 ここから急上昇が予想されるドイツCPI

先ほどドイツ連邦統計局から、6月分のドイツCPI速報が発表されましたが、前年同月比+2.3%(5月+2.5%)と市場予想通りの着地となり、マーケットも特段反応していません。

Inflation rate expected to be +2.3%in June 2021 - Statistisches Bundesamt (destatis.de)

 

しかし問題はこの先年末までの6か月間です。昨年7月から12月まで期間限定でドイツの付加価値税が19%から16%まで(標準税率)3%引き下げられていましたので、7月以降はその反動で、インフレのヘッドライン(コアも)が1%程度押し上げられます。

年初から今までは昨年コロナで急落したエネルギー価格の反動が、ここから先は昨年一時的に引き下げていた付加価値税の反動が、インフレ率をさらに大きく押し上げるということです。

特殊要因やベーシス効果による一時的なものだ、と皆が理解してくれているうちは良いのですが、インフレは長く続くと、人々の意識や感覚がそれになじんでしまい、同程度のインフレが将来自己実現しやすくなるという性質があります(日本の人々はデフレに馴染み過ぎています)。足元のインフレの一部には、景気回復に伴う強気なプライシングによるものも含まれています。

エネルギーと食品を除くコアインフレ(翌月央~6月分は7/11~の詳細発表で判明。5月は+1.9%)がトレンドとして上がっていないかどうかをしっかり見極める必要があります。

 

なお、ドイツ経済の当面(四半期毎)の予想軌道を確認するにはこちら(Tradingeconomics)が便利です。インフレ率は年後半に向けてかなり上昇し、来年初急反落するという予想になっています。

Germany - Economic Forecasts - 2020-2022 Outlook (tradingeconomics.com)

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