直近4つの世論調査で、CDU/CSUとGreenの失速、SPDの復調が鮮明になってきました。トップ3党の政党別支持率(網掛け4つの平均)は
CDU/CSU:23.6%、SPD:20.9%、Green:17.6% となっており、
5%条項による死票を勘案しても(計46~47%程度で過半数確保可能)、このうちの2党だけの組み合わせでは連立組成が不可能な情勢です。
Wahlumfragen zur Bundestagswahl 2021 – Sonntagsfrage (Wahlumfrage, Umfragen) (wahlrecht.de)
過半数確保のために3党以上の連立が必要ということになりますと、理屈上可能な組み合わせは非常にたくさんありますので、読みが非常に難しくなります。
あくまで私見ですが、現実的な連立組み合わせを絞り込むうえで、以下2点が軸になると思っています:
①SPDはよほどのことがなければCDU/CSUとは組まない(いいとこ取りされるので)
②ラシェットと親密なFDP(支持率12.3%)のリントナー党首が重要な役割を演じる
その前提で考えると、3党連立の組み合わせの中で、
一番可能性が高いシナリオはジャマイカ(CDU/CSU+Green+FDP):ラシェット首相
それに続くのが信号機(SPD+Green+FDP):ショルツ首相
ということになると思います。
こちらはUKのブックメーカー(賭博サイト)の予想ですが、その辺を非常によく見抜いた確率分布になっていると思います。
Next German Chancellor | Politics odds | Smarkets betting exchange
CSU党首のゼーダ-(Söder)が9.52%とベアボックの8.33%を上回っていますが、これはさすがにやりすぎで、ラシェットの個人的な大スキャンダルが発覚し、急遽ゼーダ-が取って代わるという展開にでもならない限り、このようにはならないと思います。
ラシェット対ショルツのオッズは、ゼーダー分をラシェットに加えた7対3くらいが妥当と見ます。
今回の選挙(9/26投開票)はコロナ感染再加速の影響もあり、半分以上が郵便投票(既に始まっています)になる見込みです。いつの時点の世論調査断面が郵便投票に反映されているか読めないので、波乱材料になる可能性があります。
3党連立となれば、どんな組み合わせでも連立交渉に長い時間が必要となりますので、結果的にメルケル首相の在位は長期化するでしょう(新政権誕生までは暫定政権)。メルケル首相は長年にわたって(今でも)政治家ナンバーワンの人気を誇っており、このまま引退させてしまうのは大変もったいないのですが、少なくとも今のところ政界から完全に引退する意志は固い模様で、ドイツ大統領(来年2月選出)になったり、将来EUの要職に就いたりすることはなさそうです。日本の首相として輸入できたらどんなにいいだろう、と思っているのは私だけではないような気がします。