今年8月1日から、このMark Branson氏(スイス系イギリス人, 1968生)がBaFin長官に就任しています。BaFin(日本の金融庁に相当)初の外国人長官であり、「ミスタ-・ゼロトレランス」の異名を持っています。
【就任までの経緯、人物、スタンスなど】
- 前長官Hufeld(フーフェルト)氏は実力に定評あるドイツ人大物長官だったが、Wirecardスキャンダルのため、今年3月末に引責辞任。その後Röseler(レーゼラー)理事が新長官が見つかるまで暫定的にBaFin長官を代行。
- このBranson氏はこれまでスイス金融市場監督当局finma長官だったが、BaFin移籍のため5月末にfinmaを退任。8月1日よりBaFin長官に就任。
- イギリス生まれ、イギリス育ち(英国とスイスのパスポ-トを保持)。
- ドイツ語はfinma勤務中にスイスで学び、イギリスアクセントでスイスなまりではあるが非常に流暢なドイツ語を話す。
- 銀行実務の経験は豊富(クレディスイス、UBSなど)。
- ケンブリッジ大で経営学と数学を専攻。
- 定評ある実力者(スイスでは極めて厳格な金融監督者として有名)が確保できたということでドイツの与野党とも概ね歓迎。
- UBS東京の責任者として数年間日本駐在経験あり(LIBOR操作のTom Hayesと同時期)。相応の知日派と期待できる。
- 銀行監督において、(出来るだけ良質で厚い)自己資本の充実とアンチマネロン面で厳しく当たるスタンス。~過度に厳しい銀行監督に抵抗してきたドイツ銀行業界にとっては逆風。
- ドイツがアンチマネロン対策で他国に劣っているとは考えていないが(他国では気づかずに問題が過小評価されているだけ)ドイツの問題をアメリカに解決してもらうようなことがあってはならないとの見解。
- ワイヤーカード問題の反省から、多少情報が不十分でも、監督領域がグレーであっても、BaFinを前広かつ毅然として動かす方針。
- 長期にわたる超低金利で、ひずみが蓄積していないわけがないと考えており、シャドーバンキングと不動産関連におけるバブル崩壊を厳重に警戒している。~それで自己資本の充実にこだわっている。