日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20211208 ショルツ新政権の金融セクターにおける政策の方向性

ドイツ外銀協会 Home - Verband der Auslandsbanken in Deutschland e.V. (vab.de)

が、ショルツ新政権のベースとなる連立協定の内容について掲題の観点から論点整理してくれていますので、以下その概要をご紹介します。

 

金融界最大の懸念事項だった

投信などの運用相談時に個別明瞭会計の手数料を別に取らなければならない

(手数料の高い商品を売りつけないようにするため)という提案は少なくとも連立契約から外されている <金融界としては安堵>

 

 

欧州銀行同盟/資本市場同盟

 ドイツの3本柱構造(下添、過当競争の元凶との批判もある)を維持しつつ、
  欧州銀行同盟は完成させる

 個別国の預金保険制度のバックアップとしてその再保険の仕組みを整備する

 資本市場では、国境を超える規制を緩和して中小企業がアクセスしやすくする

 

 

リスク資本/金融市場

 多様な議決権の株式発行を可能にする

 バーゼルⅢ/Ⅳを重視・完遂する

 シャドーバンキングはしかるべき監督・規制する

 高頻度高速取引や食品への投機を抑制する

 

 

消費者保護 

 (ワイヤーカード事件の反省を踏まえて)BaFin改革を推進する

 貸付契約締結と残債保険契約締結の間には1週間以上空ける
  <両者の契約を別々にして、コストをはっきり提示させるという趣旨>

 

 

サステナブルファイナンス

 ESG関連の共通基準/ルール整備を進める

 

 

アンチマネロン

 FATFの推奨を国内法でしっかりカバーする

 BaFinやFIUの権限をしかるべく強化する

 (当局から更問を出すなどにより)疑わしい取引の有効性を高める

 透明性登記(Transparenzregister)のデータ品質を高める

                                                                           

 

デジタルサービス/デジタル通貨

 FinTechに極力迅速な認可を出す

 デジタルEUR導入に積極的に協力する

 欧州共通の仮想通貨監督・規制を導入する

 

 

【ご参考】ドイツ銀行セクターの三本柱構造(Drei Säulen Struktur)