ドイツ金融安定化委員会(財務省、ドイツ連銀(中銀)、ドイツ連邦金融監督庁(BaFinから構成)が昨日(6/27)提出した国会宛報告書のポイントを抽出しておきます。
①ロシア/ウクライナ危機
全体としてドイツの金融システム全体が受ける影響はマネージ可能
対露エキスポ―ジャーは銀行総資産の0.1%程度と僅少
但し、経済制裁やエネルギー経由での間接的波及には引き続き要警戒
②不動産
住宅価格は20~35%程度過大評価
商業用不動産には過熱感乏しいが、
金利上昇+事業の行き詰まりによる不良債権化を警戒
<ドイツ住宅価格> コロナ中に低金利で急騰 住宅ローンも堅調に増加
<ドイツ商業用不動産価格> 小売店舗用(黄)はコロナ前から軟調
③気候変動
災害等による直接的損害と移行失敗に伴う不良債権増加を警戒
特に移行失敗に伴う株安ではドイツの投信(中)と保険(右)が大きな損害を被る
④デジタル/サイバー
仮想通貨はドイツであまり広く使われていないのでリスクは限定的
ロシア発のサイバー攻撃、フェイクニュースには引き続き要警戒
⑤銀行
自己資本十分厚い上、倒産急増の兆しはなく、
一部の脆弱な中小銀行以外特段不安なし
<ジャンク債スプレッド> 米国(黄)、ユーロ圏(緑)ともまだ低位
<デット・サービスレシオ> ドイツ(黒)は低位(だが仏など他国はやや不安)
<ドイツの銀行の貸倒引当> 足元引当が少ないので予想外に倒産急増すると危ない
<ドイツの銀行の自己資本比率> 十分な蓄積(大手銀:黄、中小銀:緑)
⑥保険・投信
これまで低利回りに苦しんできた
今後の金利急騰(リスクプレミアム増加+インフレを起因とする)と、
株安によるダメージには要警戒
<ドイツ生保のソルベンシーⅡ> メジアンで400%と十分な高水準
但し低金利(下:10年ゼロクーポンスワップ金利)は引き続き逆風
<インフレ期待> 米国(黄)、ユーロ圏(緑)とも2.0%超で高止まり