本日発表されたifo、キール、エッセン、ハレの4つの経済財研究所の共同研究(シナリオ分析)結果によると、下図の通り、来年にかけてドイツでガス不足(縦軸のゼロレベルを下回る)が発生する可能性は2割以下に抑制されているようです。
- 来年ガス不足(▲23.8TWh)が発生する可能性(下から2番目の実線)は約20%
この場合の直接的生産損失はGDP(2021年)の1.6%相当(460億EUR) - 非常にunlikelyなワーストシナリオ(一番下の点線)では160TWhが不足
この場合の直接的生産損失はGDP(2021年)の9.9%相当(2830億EUR) - 4月時点で恐れていたより、状況は大幅に改善されている
このような状況の改善は、ハーベック経済相(兼副首相、Green)が、危機対応プランをすぐ策定し、海外(カタール、米国など)でのガス緊急調達やドイツ経済界内での調整などに奔走した成果と思われます。彼が現在政治家人気ランキングのトップを独走しているのも、こういった実績が評価されてのことでしょう。
コロナ再加速、インフレ鎮静化見込み薄など、最近何もいいことがなかったドイツにとって久々の朗報と言っていいかもしれません。
なお、高級週刊新聞Zeit紙のエネルギーモニタリングサイトによると、
ロシアからドイツへのガス供給は平時の4割(▲6割)に絞り込まれたままですが、
太陽光発電が大活躍してガス発電を少し節約できていることもあり、
ガスの貯蔵量は4月の3割割れから足元6割くらいに回復しています。
Energiemonitor: Die wichtigsten Daten zur Energieversorgung – täglich aktualisiert | ZEIT ONLINE