昨日ifo経済研究所(ifo景況指数の発表元)からドイツ経済予想のアップデートが発表されました。
今回の予測では
①今年Q4が前期比▲0.5%と低迷し、統計上の発射台が低くなる
(ドイツ連銀のWAIが示唆する+0.6%と比べてやや悲観的過ぎるような気がしますが)
②成長がインフレに食われてしまう
ということで、来年の実質GDP成長率を+5.1%⇒+3.7%と引き下げています。
但し2024年はかなり強い成長予想となっています。
他の内外主要機関との対比では、来年弱目、再来年かなり強めという特色ある立ち位置になっています。
メディアはGDPの下方修正にだけに注目して、あっさりと報道しているのですが、
独経済成長率、来年の予測を3.7%に下げ=IFO | ロイター (reuters.com)
ドイツの視点からすると、今年+3.1%、来年+3.3%(再来年+1.8%)という非常に高いインフレ予想に注目すべきと思います。
ユ-ロ圏のインフレ予想も来年+3.2%にまで切り上がっており、再来年+1.6%(ターゲットの2%以下)に低下してくるとはいえ、この2年間の購買力喪失(通貨価値減少)に対して、あと1年間ECBが何もしなくていいと言い切るのはロジック的に相当厳しいように思います。
下図は主要地域のインフレ軌道予想です(水色:米国、青:ユーロ圏、黒:英国、紫:グローバル)。さすがにこれだけインフレが上がってしまったので、ここから更に上がるというのは考えにくく、まもなくピ-クを打って低下に向かうということはほぼ間違いないでしょうが、2023年の低下はあくまで2022年の高い発射台があるからそう見えているだけで、各国主要中銀が「一時的」と言い放って何もしないでいた間に物価水準が大きく切り上がってしまい、(久々に)インフレで市民生活が圧迫されているのは紛れもない事実です。
少なくとも、遅まきながらでも金利の正常化(異常なマイナスの金利は解消する)に着手するというのが当然のロジックであり、それと違うアプロ-チを選択する場合には重い説明責任が伴う局面と思います。さすがにFOMCは今夜にちゃんと動きそうですが、木曜のBOEとECBには注目です。