メルケル前首相が政界から完全に引退してしまった今、プーチン露大統領にとってドイツにおけるもっとも太いパイプは、シュレーダー元首相となっています。
ロシア国営ガスプロム、独シュレーダー元首相を取締役に: 日本経済新聞
●シュレーダー元首相 日本語WIKI
ゲアハルト・シュレーダー - Wikipedia
このシュレーダー氏は、今やドイツ/ショルツ首相/SPDにとって最悪の頭痛の種となってしまっています。同氏についてドイツの主要メディアが書いていることをざっとメモしてみましたが、確かに大変やっかいなことになっています。
- •シュレーダー元首相はSPDにとっても、ドイツ/EUの外交にとっても大きなお荷物になっている
- 16年続いたコール首相(CDU)を倒してSPDを政権の座に戻したシュレーダーは本来英雄だった
- 確かにドイツ人の過半の本音は「どのみちドイツはロシアと仲良くやってくしかない」なのでシュレーダー氏はそれに乗っかって開き直っている
- 嵐のような批判に対してもどこ吹く風で平然としている
- EUと(特に)米国は、強い疑いの目でドイツ/SPD/ショルツ首相を見ている
- SPDとショルツ首相がそれで今どれほど困っているかなど全く気にかけていない
- この神経質な局面でもロシアべったり、反ウクライナのスタンスを明言し続けている
- シュレーダー氏はノルトシュトリーム1および2、ロスネフチ、ガスプロム(6月から)の経営幹部として関与し、ロシアと自分の利益を死守しようとしている
- メルケル前首相がいた頃は彼女も親ロシアであったため、今ほどこの違和感は目立たなかった
- SPDは今でもヒト・モノ・カネを元首相であるシュレーダー氏につけており、手切れの仕方が難しい
- キューネルトSPD幹事長はシュレーダー氏の振る舞いに激怒しており、昔シュレーダーの弟子だったクリングバイル共同党首に早く対応しろと迫っている ケビン・キューネルト - Wikipedia
- シュレーダー氏はカネが欲しいわけではなく、いつまでも現役で注目を集めていたいらしい
- 人気の高いシュヴェーズィヒ氏(NS2が通る州の首相)がシュレーダーに味方して
NS2死守を明言しているのもSPDにとっては腹立たしい(ロシアの天然ガスは同州に雇用と税収をもたらすので昔から州全体が親ロシア) マヌエラ・シュヴェーズィヒ - Wikipedia - シュレーダー氏は6月にガスプロムの監査役になろうとしているので、その頃またドイツで大騒ぎになるのは確実
- シュレーダー氏に近いクリングバイル共同党首かシュヴェージッヒ州首相から
シュレーダーに働きかけてもらうしかないが、妙案はない ラース・クリングベイル - Wikipedia - CDUはシュレーダー氏の細かい問題行動ではなく「ドイツ外交上へのダメージ」という大きなテーマでSPDを追い込んでいく戦略
- 今春の重要な州議会選前にSPDの支持率が低下しかねないので、SPDとしては気が気でない