日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20220504 ドイツ3月貿易統計 対露、対中輸出急減を確認

今朝ドイツ連邦統計局から、3月の貿易統計が発表され、

輸出(青線)減+輸入(赤線)増⇒貿易黒字(黒棒)急減

という結果になっていました。
Exporte im März 2022: -3,3 % zum Februar 2022 - Statistisches Bundesamt (destatis.de)

 

①輸出全体  3月単月:前月比▲3.3% 1-3月累計:前年同期比+10.1%

(うちロシア)       ▲62.3%            ▲6.4% 

②輸入全体  3月単月:前月比+3.4% 1-3月累計:前年同期比+22.7%

(うちロシア)       ▲2.4%            +54.8%

                           (↑エネルギー価格高騰によるもの)

表の中にはありませんが、ゼロコロナ政策で経済急減速が懸念されている中国への輸出も前月比▲4.3%と減少しています。

 

ドイツはエネルギー対露依存度を、以下のように急速に押し下げてきています。

  • 天然ガス:55%⇒35%(昨年末⇒足元)
  • 原油  :35%⇒12%
  • 石炭  :50%⇒8%

3月の前月比でのロシアからの輸入減少はその一部なのでしょうが、エネルギー価格自体が急騰しているので、まだ金額面で確認できる状況には至っていません。

 

これらを背景に、ドイツの貿易黒字は昨年3月の207億EURから今年は97億EURと半分以下に減少していますが、市場予測(100億EUR前後)とはほぼ整合的でした。

Germany Balance of Trade - April 2022 Data - 1950-2021 Historical - May Forecast (tradingeconomics.com)

 

ifo研が毎月下旬に発表している独製造業の輸出期待センチメントは、3月にウクライナ危機勃発で大きく低下した後、やや落ち着きを取り戻しています。今後輸出がどんどん減少していく可能性は低そうに見えます。

ifo Exporterwartungen erholen sich (April 2022) | Fakten | ifo Institut

 

ちなみに、現在のBrent価格:108、TTF(天然ガス)価格:105は、独5大研春季合同予測(4/13発表)のメインシナリオ(黒線)にほぼ沿った動きであり。。。

 

 この前提で独5大研は、外需のGDP寄与は今年も来年も見込めない、とみています(2021年はGDP2.9%のうち0.8%が外需による寄与でした)。

今年は個人消費(リベンジ消費)、来年は設備投資(トランスフォーメーション対応)が主導する、外需を全くあてにしない経済成長となる見込みです。

 
https://gemeinschaftsdiagnose.de/wp-content/uploads/2022/04/GD_F22_Langfassung_online.pdf