ほぼ毎月出ているECB経済月報(Economic Bulletin)は、グラフをナナメ読むだけでも、ECBがどんなデータをどのような形で見ているか/見せようとしているかが分かって有益です。
https://www.ecb.europa.eu/pub/pdf/ecbu/eb202205.en.pdf
サンプルとしていくつかご紹介しておきます。
●コロナ明けの旅行は譲れないが、他の出費を切り詰めようとしている家計の姿:
●ロシア向け輸出は、米国で大きく減少し、中国ではマイルド:
全体にざっとナナメ読んだ後に私なりに価値が高いと感じたのは以下4点です:
●71社ヒアリング(6/20~29、ロシアがガスを6割カットしていた頃)結果(P57~59)
顧客センチメントが大きく悪化しているので夏以降が心配。
コスト増の価格転嫁継続もややペースダウン。
●ユーロ圏の非金融法人の資金調達コスト(ユーロ圏平均、名目ベース)
全体(青:約5.5%)、株式(黄:約9%)、社債(赤:約3.7%)
短期銀行借入(緑:約1.5%)、長期銀行借入(水色:約2%)
~社債のコスト増が相対的に大きくなっています(金利上昇+スプレッド拡大)。
●各種インフレ期待
2024年にはぴったり2%に収まるという非常に都合の良い(大本営発表的な)ものになっています。今年のベースが異常に高いので、来年は相応に急低下して見える時間帯が長くなりますが、前月比が+0.2%くらいに落ちてこないと、この期待は裏切られることになります。
●10年独OIS金利(水色線)
ECBのメイン政策金利であるREFI金利の長期平均とみなせます(グラフでは約1.8%)。WEB上には見当たらず、本来非常に貴重なデータなのですが、よく見るとグラフは7/20までのものなので注意が必要です。10年国債金利とパラレルに動いているので、足元▲30-40bp位下にいる感じでしょう。