本日(8/19)、ケルン研(IW)から掲題に対して以下の通り非常に強い警鐘が発せられていましたので、ご紹介します。
本件のポイントとなるデータは下表で、上から順に
①中国からの輸入のシェア、②中国への輸出のシェア(各%)、
③対中貿易赤字、④対中直接投資 (各10億ユーロ)となっています。
この評価から以下が読み取れます。
- ドイツからの中国向け輸出は、中国での現地生産が進んでいるため、あまり伸びておらず、シェアは頭打ち(②)。
- 一方、中国からの輸入シェア(調達依存度)は最近価格上昇が顕著なこともあり、どんどん拡大中。(①)。
- その結果、貿易赤字も過去最高(半年で408億ユーロ)を記録(③)。
- 今年前半(1~6月)、ドイツ企業は過去最高のペースで中国への直接投資に走っている(④半年で100億ユーロ)。
IWの警鐘(提言)は以下の通りです。
- 台湾に対する中国の大規模軍事演習を見ると、対中依存度引き下げはドイツ喫緊の課題。
- ドイツ企業は短期的利益追求に走っており、以下のような政策対応が必要。
・他国(とくにアジア諸国との)と自由貿易協定を結ぶ。
・中国に対する貿易保険適用を廃止する。
・現在棚上げになっている中・EU投資協定をこのまま批准しない。
ちなみにここからは私見ですが、日本の対中依存度はドイツより遥かに大きく、全くドイツを批判できるような立場にはないと思います。
ドイツと違って、日本は中国との歴史・領土問題を抱えている上、中国の軍事的脅威に直接晒されているにもかかわらず、ドイツの倍以上の対中投資をずっと続けており、輸出入とも中国のシェアは2割超となっています。
もしドイツが対中政策で困り始めるような状況が今後やってくるなら、日本はその何倍も苦しい状況に、ドイツより遥かに先に陥ります。