日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20231108 ドイツ五賢人年次経済予測のエッセンス

https://www.sachverstaendigenrat-wirtschaft.de/fileadmin/dateiablage/gutachten/jg202324/JG202324_Gesamtausgabe.pdf

 

先ほどドイツ5賢人会(経済諮問委員会)から年次経済予測が発表されました。現時点で最も権威ある(予算や計画などの拠り所とするのに最適)報告書ですので、そのエッセンスをまとめておきます。

 

●今年の実質GDPは▲0.4%(と市場コンセンサス並み)で着地見込み。来年は個人消費が回復に向かうものの+0.7%どまり(ユーロ圏は+0.6%/+1.1%)。


●他のEURO圏主要国と比較すると、ドイツ(青)の戻りが昨年以降非常に鈍い。


●インフレ率は今年6.1%、来年2.6%と、比較的順調な低下が見込まれるものの、ECBの2%目標達成にはなかなか至らない(ユーロ圏は+5.6%/+2.9%)。

 

●実質GDP前期比(左)とインフレ前年同月比(右)の予測レンジ:


●潜在成長率は労働投入(橙)の強烈な下押し(団塊世代のリタイヤ)により0.4%程度まで低下(ほぼ日本並みの水準)。

労働力人口(水色)も一人当たり労働時間(紺色)も大きく減るので、移民(黄色)ではそのごく一部しか補えない


少子高齢化、低生産性、資本ストック老朽化、革新的企業不在などが成長力を押し下げ。 その克服には将来への投資が急務(これはまさに日本も同じ)。

 

●雇用機会拡大や働くインセンティブの改善、公平感を高める年金改革(退職の開始時期を平均余命と結びつける、年金水準を引き下げる、高所得者から低所得者に再配分する、株式運用を導入するなど)も重要。

 

●流動的な資本市場/強力な株式文化(図左:非上場株と銀行借入への依存過大)、多くのベンチャーキャピタル(右:紫)が必要。

 

 

賃金(時給)は今年+5.9%、来年+5.1%と強い伸びが続く見込み。



●実質所得の格差はどんどん拡大している。

 

●市場は米英より早め/大きめ(来年計1%)のECB利下げを織り込み(本経済予測の前提にもなっている)。

 

●但し、テーラールール的にはまだやや利上げが足りない感じ(据え置いているうちに来年適正水準にはなる)。

 

<日本語報道例>

jp.reuters.com

 

note.com

 

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