●企業収益~2023年は実質経済成長がマイナスだったが、非金融企業の税引き前売上高利益率は2022年の4.2%から5.3%へと大幅に上昇(右下)。エネルギーなど物件費の節約が奏功(左上から2番目)。ドイツ企業は2023年の景気低迷にうまく対処したと評価できる。
●PL~多くの業種で売上高利益率(左)、売上(央)の増加に成功。物件費(右)はエネルギー集約型企業での低下の寄与が大きい。
●BS~自己資本比率(左)は30.1%と前年比+1.2%増加、長期負債/自己資本比率(右)は▲3%強減少。
●企業倒産動向~コロナ支援の効果が期限切れになった2023年から小売、レストランを中心に企業倒産急増。建設・不動産関連企業には金利上昇の影響も。今年も同様の流れが継続。
●ゾンビ企業(創業10円超かつ3年連続で営業利益<支払利息)~2000年代初頭の景気後退や2008/09年の経済・金融危機の際、ゾンビ企業のシェア増加が観測されたが、コロナ後はむしろ減少した。金融機関が財政が脆弱な企業に対して厳しい融資スタンス(高金利など)で対応したため。
●2024年の企業収益見通し~景気低迷長期化で、売上が伸びにくい一方、資金調達やエネルギーコストの増加、賃金の急激な上昇などにより、コストは上昇しやすい。実際に企業倒産件数も増加している。人口動態に起因する熟練労働者不足、経済のグリーン化とデジタル化、世界経済環境の変化から生じる各種構造問題がドイツ企業を悩ませており、企業部門全体の収益性は低下する可能性が高い。