日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20241231 The World Ahead ドイツ語版のエッセンス

毎年恒例の英Economist/独Focus協働によるドイツ語版年末特別号「2025年の世界」のドイツ関連部分のエッセンスは以下の通り:

  • 2025年のドイツを最も動かしそうな人物は、やはりこのメルツCDU党首(次期首相最有力候補、69歳、党内右派、経済に強い)。
  • メルツ新首相は(最大のライバルだったメルケル氏と違って)、ウクライナが領土割譲で譲歩する代わりにNATO加盟で安全を確保しようとする可能性大。
  • 2/23の選挙後は、CDU/CSU+SPDの大連立政権誕生となる可能性高いが、両党がうまく協力して前信号機連立政権よりうまくいくかについては大いに不安。
  • CDU/CSUは本来FDP(自由経済重視)との相性がいいものの、FDPは5%条項抵触による足切りのため、そもそも議席が獲得できない可能性が高い。
  • 左翼ポピュリズム新党BSWは、結成早々主要政党に成り上がり、今後キングメーカーになりうるが、具体的政策や政権担当能力に乏しい感は否めない。
  • 独仏政局がそろって不安定化しているので、EUとしての求心力が失われてしまっている。少なくともドイツには選挙後早く復活してほしいとの期待大。
  • 経済面ではエネルギー政策が一丁目一番地。高コストと官僚主義を何とかしないといけない。このまま身の丈を超えた高負担の脱炭素政策を続けていると国民のアクセプタンスが失われ、産業が空洞化してしまう。
  • ドイツ経済には未だ回復の兆し見えず、再び「欧州の病人」と化している。
  • トランプの経済政策(関税など)は、ドイツのGDPを1.5%押し下げうる。
  • 人手不足、コスト上昇、老人激増により介護問題がますます大変に。
  • 2050年にカーボンニュートラルを実現するためには、軽量化、燃費改善、電化/水素化などを通じて航空機燃料使用量を今の半分にはしないといけない。
  • 肥満防止薬は心臓疾患や痴呆症にも効果があるとされており、対象者が多いドイツでも期待が高まっている。高額医療ながらも健康保険でカバーすべきという議論が高まりそう。
  • ロッコの巨大太陽光発電「Sun Belt」(独KfWが支援)と経済には期待できる。ドイツ産業界もスペインや米国比の劣勢を挽回しに行くべき。
  • エコディーゼル(HVO100)はCO2排出量を9割削減できる新燃料として注目されている。2040年には世界シェア4割に達し、10億トンのガソリン節約が可能とも。

 

<英Economistの「The World Ahead 2025」のエッセンスはこちら>

dateno.hatenablog.com

 

なお、日本については、後期高齢者が激増する「2025年問題」だけが以下のような感じで採り上げられている:

<ポイント>

  • 日本では今年75歳以上の後期高齢者人口が22百万人に激増する。日本ではこういった老人が杖などをつきつつ街角に溢れている。
  • これは社会保障費負担の急増を通じて、ただでさえ苦しい日本の財政をさらに圧迫する。
  • 日本は高齢者が元気に働き続けることで有名ながら、75歳以上では病気がちで働けなくなり、介護に頼る人も激増する。
  • 日本政府は海外からの介護士積極受入れなど、介護施設の増強に腐心している。

 

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