日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20221208 ドイツ国家転覆を計画していたテロ組織摘発に対するドイツメディアの報道ぶり

youtu.be

独、国家転覆画策容疑で極右25人拘束 ロシアは陰謀関与否定 | ロイター (reuters.com)

ドイツで国家転覆目指すテロ組織摘発 退役軍人など25人逮捕 | NHK | ドイツ

ドイツ、クーデター計画容疑で25人逮捕 議事堂襲撃を画策と - BBCニュース

 

日本でもそれなりに大きく報道されているこちらの件(ドイツでは当然昨日のトップニュース)について、ドイツ主要メディアでの報道ぶりをご紹介します。

 

  • 治安当局はこの動きを年初からしっかりマークしていて、クーデター計画の十分な証拠が手に入った段階で一斉捜索に動いた。但し、それ以前はばかげた陰謀思想として嘲笑対象にされ、ずっと過小評価されてきた。
  • 共謀者等から十分情報が集まっていたのだから、ここまで大きくなる前にもっと早く叩くべきだった。
  • 「帝国市民」は全独に2万人以上いると推計されており、逮捕者はまだまだ増える。
  • 52人の被疑者の中には、元国会議員、教師、医師、パイロット、起業家、歌手など、本来民主主義の柱となるべき人々が多数含まれている。警官や軍人が武器を準備していたことも深刻。
  • ベルリン地方裁勤務の元AfD国会議員が、司法内部から影響力を行使しようとしていた点は深刻。AfDの監視を今後徹底的に強化すべき。
  • 連邦軍や警察に入れる際に、この種の思想は徹底的にチェックして排除しなければならない。
  • そもそもこのような陰謀論的な動きがここまで自然に拡大・成長してきたことが大問題。本件を頭がおかしな人たちの特殊事例として矮小化すべきでない。
  • フランス、イタリア、スウェーデンでも極右が台頭しており、若者が毒されないか心配。ロシアとの関連(現時点では不明)も気掛かり。
  • ショルツ首相は本件をいつものようにクールに流すのではなく、(メルケル前首相のように)もっと情熱的にこの種のテロと断固として戦うという宣言をすべきである(首相は他の政策上の成果でも国民向けアピールが下手で、国民の不満を解消できていない/不人気化している)。
  • 【主要メディア自身はいっさいそのようには解説しませんが】逮捕現場にジャーナリスト多数が待機していたこと自体が非常に不自然。(深刻なクーデター計画ではなく)政治的演出(AfDを危険視する、都合の悪い他の事件を目立たなくするなどのため)である可能性が極めて高い。

 

 

明日発表の今年の流行語大賞の審査対象になるかどうか微妙なタイミングですが、この「帝国市民」(Reichsbürger)や「テロ王子」(Terror-Prinz)が下位に入賞する可能性が出てきたかもしれません。

 

テロ王子 ハインリヒ13世