日独経済日記

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20230306 ドイツ政局アップデート

 https://dawum.de/Bundestag/

 

最近の政党別支持率(主要世論調査平均値推移、上図)を見ると、野党第一党のCDU/CSU(黒)と極右政党AfD(青)の支持率上昇と、連立与党3党であるSPD(赤)、Green(緑)、FDP(黄)の支持率低下が鮮明になっています。

 

ドイツのメディアでは根拠なきいい加減な解説はされない(回答者に支持理由までは聞いてない)ので、こうなっている理由について直接解説されることはほぼないのですが、現在の政局を私なりに解釈すると以下のような感じなのではないかと思っています。

 

  1. SPD(赤):しばらくGreenの後塵を拝していたが、今年1月に国防相をピストリウス(現在政治家人気トップ)に代えたことが奏功し、Greenに対して明確なリードを確保できるようになってきている。ショルツ首相がウクライナ支援スタンスを以前より明確にしたことで批判を受けにくくもなっている。但し、それが支持率回復の決め手になっているわけではなく、CDU/CSUとの差は開く一方。

  2. Green(緑):昨年央あたりまでは、ハーベック経済相(ガス不足対応)、ベアボック外相(対露、対中強硬)の奮闘が目立ち、二人の人気度が高かったこともありSPDを上回っていたが、ウクライナ戦争の負担が重くなる中で環境政策が進みづらくなってきて(原発廃止延期も強いられた)支持率はじり貧になりつつある。

  3. FDP(黄):苦しい経済環境下でも経済界をあからさまに支援するような施策を打つわけにいかず、コロナ、国防、気候変動への資金配分ではリントナー財務相が文句ばかり言われやすい立場にある。FDPは直近のベルリン州議会選でも5%条項をクリアできず、議席を失った。経済/自由競争優先政策(アウトバーン拡充やE-Fuelへの固執)で政権内の軋轢を高め始めている。

  4. CDU/CSU(黒):信号機連立政権に対する(漠然とした)不満のはけ口として支持率をじりじり伸ばしている。連邦選挙後の5つの州議会選挙で3勝となかなか好調。但し、メルツ、ゼーダー両党首が積極的に高く評価されているというわけでもない(あくまで連立与党沈下の中での相対的な浮上にとどまる)。

  5. AfD(青):既存中道政党に対する不満(ウクライナより自国民を優先しろ、的な主張)の受け皿となって旧東独中心にじわじわと支持を増やしている。全国平均では支持率15%程度だが、来年後半に州議会選挙があるザクセン州、チューリンゲン州では約3割を抑えて第一党になりそうな勢いがあり、要警戒。

 

<ご参考> 政治家人気ランキングトップ10

ピストリウス国防相が引き続きダントツの人気トップ
 トップ争い常連のGreenのハーベック経済相とベアボック外相が共にじり貧で、
 ショルツ首相が(スコアの改善ないまま)2位に浮上。
 CDU、CSU各党首も、スコアは低いもののランキングがジワリ上昇。