日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230327 本日の全国ストライキについてのドイツメディアの報道ぶり

 

本日(3/27)ドイツでは、鉄道、バス、空港、水運などすべての交通機関が賃金交渉に伴う全国警告ストライキで麻痺しています。これについてのドイツでの報道ぶりは以下の通りです。

 

  • インフレはすべての従業員の購買力をむしばんでいるが、一部の大企業(特にエネルギー部門)は、危機を利用して巨額の利益を上げている。従業員がその分配を要求するのは当然だ。
  • 特に交通関連部門では、公正な給与/分配なくして人手不足は解消しない。彼ら/彼女らはエッセンシャルワーカーでもある。経営側(自治体/連邦政府、鉄道会社など)はよく分かっているはず。
  • ドイツは労働者の新しい力に慣れる必要がある。今後数年のうちにベビーブーマーが大量に退職し、労働力不足はさらに深刻になる。
  • 労働者はその希少価値を高め、その価格である賃金は上昇の一途を辿ることになる。これは中流階級と富裕層の間の格差是正に役立つ。
  • しかし、この賃金闘争がドイツ社会に深い傷を残すことが心配。今後、他の政治プロジェクトでも政治的、経済的軋轢が高まってしまう可能性がある。
  • 今日の公共サービスは、地方交通、社会政策、気候保護など、20年前よりもはるかに広い分野をカバーしている。インフレ、金利負担、賃金上昇、恒常的人手不足は、すべての国民生活に悪影響を与えることになる。
  • こういったストライキでは低所得者が特に大きな打撃を受ける。高所得者のように車通勤やホームオフィスに切り替えたりする余裕がない。
  • 労組は危険な火遊びに興じている。賃金インフレスパイラルが始まれば、その火消しは非常に困難であり、全ての国民が苦しむことになる。
  • フランスと違って、ドイツでは賃金交渉でのみストが認められているのだが、今回の全国ストは大規模な「ゼネスト」とほとんど同じであり、許容範囲ぎりぎりの限界にある。
  • 労組の立場はまだある程度国民に理解されているようだが(後述①)、これ以上何度も繰り返せば、そのような理解は霧消する可能性が高い。
  • 今回のストを主導しているVerdiは他の労組より圧倒的に好戦的であり、度が過ぎていることが多い(後述②)。

 

①ドイツで最も信頼度が高いオンライン世論調査であるCiveyによると、ドイツ国民の4割が、今回の賃上げ要求(+10.5%/最低でも月500EUR)を強く支持しているようです(スト自体への支持ではありませんが)。

 

②IW(ケルン研、経営者団体シンクタンク)の分析によると、1%賃上げ獲得あたりの紛争度合いは公務員分野がダントツでトップ。他分野でもverdiが上位を占める。

 

 

<日本語メディアの報道ぶり>

www.newsweekjapan.jp