ドイツの日曜日や祝祭日には、レストランやキオスク、駅や空港内以外のお店はほぼ全て閉まっています。ドイツへの旅行や赴任時に一番がっかりさせられるポイントなのではないかと思います。
これは「閉店法」(へいてんほう、独:Ladenschlussgesetz、LadSchlG)という小売店の閉店時間を規制する法律によるもので、ドイツ労働組合の圧力で1956年に始まりました。
この閉店法があまりにも時代遅れで、経済の足かせになっているということで、ショルツ政権の連立ジュニアパートナーであるFDP(経済・自由競争重視)が緩和を検討しています。お店が希望すれば日曜営業も可能にしようという方向性です。
FDPとしては以下3点を強く主張しています:
- このままではオンライン取引へのシフトがどんどん進んでしまい、重要なデリバリーチャンネルとしての実店舗小売ビジネスが成り立たなくなってしまう。
- 海外の大都市の多くは日曜営業を認めており、ドイツが国際競争上不利になっている。
- 規制緩和を通じて(特に都市部の)ドイツ経済を強化、活性化したい。
主な反対者は以下2つのグループです:
なお、オンライン世論調査Civeyのクイックアンケートを見る限り、市民の意見は、強く賛成:29.7%、強く反対:35.7%と両極端かつ真っ二つに割れているようです。
現時点では具体的法改正内容や道筋は見えてきていませんが、2025年秋の次回総選挙までには1度必ず盛り上がってくるはずなので、注視していこうと思っています。
ちなみにドイツは労働時間が先進国の中でも突出して短いことで有名です。日本の年間平均労働時間1,607時間(実態はサービス残業でもっと長いと思います)に対して、ドイツはわずか1,349時間となっています(2021年)。
土日、祝祭日に年次有給休暇を加えた年間休日数でもドイツは143日と他国比多めになっています。
FDPはこういった状況が固定(既得権)化してしまうことによる経済成長機会の喪失を心配しているわけです。逆に言うと、ドイツはその気になれば使える余力をたっぷり隠し持っているとも言えます。
私見ですが、健全な財政とこの短時間労働が、いざときにはバッファーになるドイツ最大の懐の深さ(ポテンシャル)だと思っています。
<州毎の営業時間> 月~金 土 日(年間数回日曜営業許可あり)
<ドイツ閉店法 日本語WIKI>
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