日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230526 ドイツリセッション入りに関するドイツメディアの報道ぶり

 

第1四半期GDP確報の下方修正(前期比ゼロ⇒▲0.3%)で、ドイツ経済が2期連続のマイナス成長に陥ったことについてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。

 

  • インフレで個人消費が凹み、金利急騰と建設コスト高で建設業が凹み、頼みの輸出も冴えない展開(下添グラフご参照)。
  • 大元をたどれば、切り上がったエネルギー価格により冬場のドイツ経済がなぎ倒された格好。
  • しかし、真の景気後退とは、企業の稼働率が低下し、短時間労働や失業率が増え、価格が停滞/下落するような状況であるはず。高水準の受注残、人手不足でタイトな労働市場、高どまるインフレ、いうドイツの現状はいずれにも当てはまらない。
  • ドイツ政府は今年+0.4%の経済成長を見込んでいるが、IW(ケルン研)は今後良くなったとしても+0.25%が精いっぱいと予想。
  • 多くのドイツ人がこの1年半、インフレのせいで急激に貧しくなっている。特に貧困層への打撃は深刻。
  • インフレは格差拡大を加速しており、社会的結束/安定にとって非常に危険。政府に対する不満が蓄積しており、放置すれば政権交代を促す恐れがある。
  • 多くの部門で進みつつある高めの賃上げは、購買力低下の一部を補う安心感をもたらしているが、賃金コスト上昇は更なるインフレ上昇圧力となる。
  • インフレが高どまれば金利はさらに上昇し、投資や建設の足を引っ張る。
  • エネルギーコスト高や熟練労働者不足など、ドイツのビジネス立地上の課題に対して、ショルツ政権は一刻も早く手を打つべきである。
  • リントナー財務相(FDP)は、危険なほど弱い経済への対応は政治家の使命だとして、政府計画・承認プロセスの加速や熟練労働者呼び込み強化を約束。
  • リンドナー財務相が、いたずらに危機感を煽り、それを利用して減税や規制緩和などでFDP(自由競争、経済重視)支持者に奉仕しようとするようなことがあってはならない。
  • CDU(野党第一党)は、政府の無策(特にエネルギーコスト高)のせいで多くのドイツ企業がビジネス拠点としてのドイツの将来に不安を募らせている、と政府を強く批判。

 

<四半期実質GDP前期比増減>

 

<輸出関連>コンテナ物流(緑)、輸出期待(赤)とも冴えない。

 

<関連投稿>

dateno.hatenablog.com

 

<日本語報道例>

www.cnn.co.jp