日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230410 最後の3基の原発停止に関するドイツメディアの報道ぶり

 

ドイツで最後まで残ったこちらの原発3基(総電力の6%を供給)が、今週末4月15日(昨冬を安全に乗り切るため、昨年末から期限が延長されていた)で完全に停止することになっています。

     

 

各種世論調査では、ドイツ国民の過半数~7割が今すぐの原発廃止に反対(エネルギー不足のリスクがまだまだあるのでもうしばらく有効活用すべき)となっていますが、政府は全く方針転換しそうにない感じです。

 

本件に関するドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。

  • 連立与党ジュニアパートナーであるGreen(~反核を党の起源としている)は、予定通り(4/15)の原発完全停止に固執している(一度延期を無理強いされたので、これ以上の妥協はしない)。原子力発電はコスト高である上、放射線リスクと自国内処理困難な放射性廃棄物の負担が重すぎると主張。
  • 一方、同じく政府与党ジュニアパートナーであるFDP(~経済界・自由競争重視)は、最後の3基の原子炉の停止後、少なくとも1年間はリザーブ電源として再稼働できるようにすることを求めている。
  • 野党第一党CDU/CSU(~中道右派)もFDP同様、すぐ廃炉作業を開始するのではなく、万一のエネルギー不足リスクへの備えとして確保しておくことを要求。イデオロギーを優先して経済界のリスクをいたずらに高めるのは無責任と批判。
  • 若い環境保護主義者の間でも、石炭よりは原子力の方がマシという認識が広がっている。脱原発は脱石炭の目途が立ってからの方が合理的ではないか。
  • ベルリン工科大学とDIWの研究は、①他のエネルギーと比べて、原子力発電は安全確保のため既にコスト高かつコストは今後もさらに上昇。②従って、巨額の補助金または国営でしか経済的に運営不能、と明確に結論付けている。

  • ハーベック経済相(Green)は「脱原発は撤回不能」「2030年までには8割が再エネになる」「ガス確保は十分で越冬リスクはない」「2011年にCDU/CSUとFDPが決定した脱原発を遂行しているだけ」、と既定路線を整斉と断行するスタンス

 

<日本語ニュースでの報道例>

www.jiji.com