ドイツ鉄道と鉄道労組(EVG)の賃上げ交渉が完全に行き詰まっており、大規模なストライキが再び実施される可能性が高まっています。現状を総括すると以下の通りです。
【追記】本日その後、少人数グループで粘り強く交渉しようか、という感じで双方がトーンダウンし、労組がいきなりストを宣言するリスクは低下しました。
- 4月21日の警告ストでは、ドイツ全土の長距離電車と地域電車がマヒした。
- 5月15日から50時間のストが予定されていたが、フランクフルト労働裁判所の土壇場の調停により、中止された(但し直前の撤回だったので電車の1/3が運休)。
- 【労組要求】期間1年+12%(但し月650ユーロ以上)
- 【経営側オファー】期間2年で賃金水準により2段階で+8~12%(第一段階12月とかなり遅め)。一時金今年7月1,450ユーロ、11月1,400ユーロ。
- 労組は「オファーは全く不十分」として断固拒否。オファーの改善がなければ交渉に応じない姿勢。
- 明日(6月3日)は、エシェデICE事故(高速鉄道脱線で101人が死亡した大事故~下添)25周年記念式典があるため、さすがにストは差し控えるものの、来週月曜以降はいつでも警告ストが断行されうる。
- 労組としては経営者への圧力をさらに高めるため、(より本格的な)無期限ストライキの是非について組合員投票を行う可能性を示唆。
<昨年から今年にかけての賃金交渉(妥結)状況一覧>
最近は(1年ではなく)2年くらいの長期にわたり、一時金を絡めて多段階で遅れ気味に賃上げするものが多く、要求通り単純に「年●%」と評価できるようなものはないが、概ね今年、来年とも実質で+5%を上回る高めの妥結となっている。
<マクロ賃金予測>
●5賢人委員会は今年+5.9%、来年+4.5%を見込む(協約ベースでは+4.6%/+4.9%)。
今年もインフレに負けるので3年連続実質マイナス。