日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230627 今回のECB利上げ局面におけるドイツ預貸金利の状況

Statistische Darstellungen mit mehreren Stapeln von Münzen

https://www.bundesbank.de/de/aufgaben/themen/straffe-geldpolitik-beeinflusst-bankzinsen--856176

昨日発表されたドイツ連銀6月月報の中に、今回のように過去に例のない急激な利上げ局面において銀行の貸出・預金金利がどう変化したかについての分析がありましたので、そのエッセンスを以下ご紹介します。

●ECBはインフレ抑制(目標は2%)のため、2022年7月以来8回連続で利上げしており、メインのREFI金利は現在4%となっている。

●今回の月報で各種金利のパススルーが想定通りだったかどうかを検証

住宅ローン金利は予想以上に引き上げられている。これはおそらく、住宅関連のクレジットリスクが非常に高いことに対応するための措置。

企業向けの小規模融資の場合、過去の経験に基づくイメージより低めな局面があった。運転資金に対して短期固定金利が多用されたため。しかし、2022年末以降、企業向け貸出金利全般で過去のパターンに沿った上昇となりつつある。

翌日物預金金利は今のところ微増にとどまる(過去のペースより上昇が鈍い)。

●企業・個人とも定期預金金利は、翌日物預金よりもはるかに早く、大幅に上昇

銀行はマージン拡大を享受することができたが、これは一時的な現象。預金を巡る競争が激化する中、翌日物預金金利が今後上昇し、マージンは圧縮されよう。

<銀行預貸金利の推移> 右端上から順に
 一般消費者ローン:8% ~イメージ通りの上昇
(非金融)企業向け貸出:4.5% ~イメージ通りの上昇
 住宅ローン:4% ~高リスクを反映してイメージより強めの上昇
 中銀預金金利(ECB政策金利下限):3.5% ~過去に例のない急上昇
 定期預金期金利:2.6% ~イメージ通りの上昇
 翌日物預金金利:0.3% ~これまでの上昇は鈍いが今後上昇へ