トルコのエルドアン大統領が、スウェーデンのNATO加盟を推進するよう自国議会に要請すると約束したことに関するドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。
- NATOが兵力や装備をはるかに簡単に輸送できるようになるため、北欧/バルト海地域の防衛力強化にとって大きな前進。
- ベアボック外相:「我々が手を携えて積み重ねてきた努力が実を結んだ。加盟国が32カ国になることで、さらに強固な同盟となる。スウェーデンに心からの祝意を表したい。」
- ストルテンベルグNATO事務総長:「これは歴史的な一歩だ」。
- ハンガリーもトルコと一緒にスウェーデンのNATO加盟に反対していたが、単にトルコが孤立しないようトルコの味方をしていただけなので、事実上の加盟実現となる。
- トルコ当局者は、クルド人武装組織を巡る問題における行き詰まり打破を強調。
- 防衛関連の制裁解除、関税同盟、ビザなし渡航等でEUがトルコに大きく譲歩した模様。
- トルコが長年米国に要求してきたF16戦闘機の納入も対価であった可能性が高い。バイデン大統領は現在、200億ドル相当のF16を40機をトルコに納入するためのパッケージを米国議会に持ち込もうとしている模様。
- ストルテンベルグ事務総長は天才的な外交手腕を発揮した。彼は単にスウェーデンをNATOに加盟させただけではなく、少なくともあと5年間はトルコを統治するエルドアン大統領を事実上西側の味方に引き寄せた。
- 過度の楽観は禁物。過去の経験から言って、例えばトルコ議会が承認する前にスウェーデンの更なる行動(PKKやクルド人へのより厳しい対応など)を要求する可能性は十分ある。
- スウェーデンの次は、いよいよウクライナのNATO加盟が大きなテーマ。ポーランド、バルト三国、フランス、ウクライナなどは、戦争終結直後の加盟を支持。
- 戦争終了後直ちにウクライナが加盟を認められなければ、ロシアは簡単に敗北を認めず、戦争を続けようとするだろう。
- 一方、米国やドイツは急速な加盟ではなく、対イスラエル型のような包括的安全保障の提供からスタートすべきと考えている。
- ウクライナの民主化など、加盟における他の前提条件充足状況や、停戦後のヨーロッパ全体の総合的軍事状況を見極める必要がある。