日独経済日記

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20230828 ドイツの中国向け輸出低迷の背景について

https://www.ifw-kiel.de/de/publikationen/aktuelles/deutsche-exporte-ausgebremst-china-ersetzt-made-in-germany/

 

本日キール研(IfW)が発表した報告書によると、ドイツの中国向け輸出の重要性はかなり低下している模様です。エッセンスは以下の通り:

 

  • ドイツから中国への輸出は2002年以降急激に増加していたが、ここ数年は価格効果調整後の数量ベースでは減少に転じており、見かけよりもはるかに弱い

 

  • 数量ベースでドイツから中国への輸出は2002年から2018年の間に4倍に増加した。
  • しかしその後2018年から2022年にかけては7.5%減少している。
  • この傾向は 2023 年上半期以降も続く見込み。
  • ドイツの輸出品に占める中国向けのシェアは2020年は7.9%だったが、今年上半期には6.2%にまで低下。
  • ドイツの対中貿易は本来、中国の経済成長率と強い相関関係にあるので、この減少は何らかの構造的変化によるもの。
  • 考えられる理由の一つは、ドイツ企業による中国内現地の生産の増加。その証拠に、ドイツ企業の中国関連利益や中国への再投資も大幅に増加している。
  • 同時に、中国は輸入を増やす代わりに、技術力を高めて自ら生産するようになっている。
  • 中国のGDPに占める輸入の割合は、2003年の29%から現在はわずか15%まで約半分に低下した。
  • 2015年以降、中国の中間財輸入が大幅に増加。2022年には1兆 5,000 億米ドルに達し、中間財が中国の輸入品全体の半分以上を占めるようになった。
  • 対照的に、ドイツにとって重要な機械や設備を含む資本財の輸入は、2013年以降、名目でも減少している。
  • 中国は自ら資本財を大規模に生産し始めたため、ドイツから輸入する必要がなくなっている。
  • 中国向け輸出はドイツ経済の成長ドライバとしての重要性を失いつつある
  • ドイツの輸出企業は、他の東南アジア諸国やインドに照準を合わせた方が良い。

 

<関連投稿集>

note.com

 

なお、別件ですが、ドイツ連銀の週次経済活動指数(WAI)は四半期実質GDP前期比+0.5%ペースまで大幅改善しています(数少ない朗報)。

https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex