https://www.vci.de/ergaenzende-downloads/qb-2-2023.pdf
昨日ドイツ化学業界(VCI)の四半期報が出ていますので、そのエッセンスを簡潔にご紹介します。
- 化学・製薬業界は2023年第2四半期も不振継続。
下表太字上から、生産、価格、売上、稼働率すべての指標が低下。
設備稼働率推移グラフ~平時(橙)を大きく下回る状況が長期化。
- ドイツ第3の産業部門である化学・製薬企業の景況感は暗い(青:現状/橙:期待)。まだまだ需要が弱く、回復への期待は先送りせざるを得ない状況。
- 今年の見通し:VCIは今年の生産が8%減少すると予想。価格下落に伴い、売上も今年14%減少すると予想。
- 生産:前期比▲1.2%/前年比▲8.0%と引き続き弱く、稼働率押し下げ。
- 生産者物価:生産者物価はこの2年のインフレで急上昇していたが、ここ数ヵ月は大幅下落に転じ、前期比▲3.1%/前年比▲0.5%となっている。
- 製品種別:苦しいのは製薬(ウェート3割)以外(2-3列生産、4-5列価格)
上から順に無機基礎化学(ウェート10%)、石油化学(22%)、ポリマー(13%)、ファインケミカル(20%)、洗剤・シャンプー類(7%)、医薬品(30%)、医薬品を除く化学(70%)
- 売上:第2四半期も、化学製品全般に対する需要は低調。化学・製薬業界の季調後売上高は、前年比▲4.7%の542億ユーロ。
- 雇用:雇用者数は47万7,000人と引き続き高水準ながら、採用手控え、一部には操短も見られる(★に関連統計局データ)。
- マルクス・シュティーレマンVCI会長コメント:
「状況は深刻で、ムードも悪い」
「エネルギー価格の高騰と過剰な規制が主因」
「政府は、エネルギー多消費産業の警鐘を真剣に受け止めるべき。」
「産業空洞化を避けるため、国際競争力のある電力料金体系が今すぐ必要」
★化学(除く製薬、一番下)の就業者数は、業界の不振を素直に反映して前年比減少(製造業全体:赤は+1.2%)しています。
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/09/PD23_367_421.html