https://www.iwkoeln.de/fileadmin/user_upload/Studien/Report/PDF/2024/IW-Report_2024-Importabh%C3%A4ngigkeiten-China.pdf
ドイツ経営者団体のシンクタンクIW(@ケルン)から「2023年対中輸入におけるデリスキング」というタイトルの興味深いレポートが出ていましたので、そのエッセンスを簡潔にご紹介します。
- 昨年(2023年)中国からドイツへの輸入は▲19%減少した。
- 対中依存度を引き下げようという努力は一部に認められるものの、全体としてみれば、対中デリスキングはあまり進捗していない。
- 中国からの調達のシェアが50%超/75%超の製品グループを抽出して分析(但し、この割当にどうしても一定のあいまいさが残る点についてはご了承願いたい)。
- 2022年と2023年を比較すると、対中依存度50%超の品目数は213から200に減少したが、75%超の品目数は77から83とむしろ増加。
- 輸入金額と輸入シェアの低下の多くが特殊効果(化学製品やPCなどを中心に、サプライチェーン障害への対応のため、2022年に在庫を必死に積み上げていた部分の剥落)によるもの。
- 輸入金額グループの分布や輸入シェア平均値など、対中輸入依存関係の基本構造はほぼ変わっていない。
- もしドイツ政府が対中依存度引き下げ政策を真剣に押し進めたいと考えているなら、以下のステップが必要:
①厳格な守秘義務を負う当局内部の専門家のみから構成され、十分なリソースを有するタスクフォースを組成する。
②この専門家が、中国からの輸入依存度が特に高い製品と企業を特定し、これらの企業から秘密裏に必要な情報を収集する。
③その情報に基づいて、それらの製品欠如がドイツ経済全体に及ぼす悪影響、代替手段の模索/実施可能な対応策などを分析・提案する。
★本日付けハンデルスブラットも本件を1面トップで「対中依存リスク高まる」と大きく扱っています。
★なお、これはあくまで私見ですが、日本の対中依存度の方が、ドイツの何倍も深刻だと思っています(貿易赤字が小さく見えているのは、中国が基幹部品などの輸出先としてサプライチェーンにどっぷり組み込まれているため。)。
<日独経済日記>