本日ドイツ連銀がドイツ経済中期見通しを発表しました。
毎年6月と12月中旬頃に今後3年程度のドイツ経済見通しをアップデートするものですが、発表直後の数か月間は、ドイツで最も信頼すべき直近経済分析として重視されます。
その主な内容について、以下図表(ドイツ連銀のこの分析は毎回良品満載)を中心にご紹介します。
①ヘッドライン 1行目実質GDP、2行目HICP総合、4行目HICPコア
GDP見通しは大きく引き下げられたものの、2%前後を維持
一方、インフレは2024年でも総合/コアとも2%超で高止まり
下:GDPギャップ~埋まるのは来年末頃
このギャップなかりせばインフレはもっと大変なことになっていたはず
③リベンジ消費
高インフレと将来不安を背景に、前回(昨年12月)の予測比大幅縮小
【リベンジ消費を今回小さめに見積もった背景】
家計がコロナで余分に得た資金(所得)は現在、現預金44%、金融商品19%、
不動産投資9%、債務削減7%などに投入されているが。。
将来財・サービス消費に回るのは25%にとどまりそうな感触
④労働市場(上:就業者数、中:失業者数、下:労働時間インデックス)
はかなりの堅調を維持しそうな(ほとんど軟化しそうにない)ため。。。
一人当たりの賃金(右青)は4%超と高い伸びが続く見込み
昨日のECB理事会でも「ユーロ圏でも賃上げは今後加速」と認めていた
⑤上:ガソリン減税、中:9EUR(格安)切符、下:再エネ賦課金軽減
といった政府施策によるインフレ押し下げ効果は(今年限りで)▲0.4%程度
⑥これらを総合的に勘案した結果としてのインフレ見通し
HICPの軌道(黒線、うち寄与度 上:エネルギー、中:食品、下:コア)
は全体に大きく上方シフト
足元のベースがこんなに高くても来年以降急降下はできず、
2024年末になっても2%を切れないという、かなり悲観的な仕上がり
【ご参考】
最近の他の有力機関の予測でもインフレ予測が相当切り上がってきましたが、これらと比べても、ドイツ連銀はより一層インフレに悲観的です。
【主要計数一覧】
【前提条件】
昨日のECBスタッフプロジェクションと整合的