ステートメント、記者会見、スタッフプロジェクションをざっと一通りチェックした上でポイントをまとめると以下の通りです。
- インフレの予想外の悪化を素直に認め、スタッフプロジェクション上でも2024年の総合・コアとも2%(目標)超過を明示。
- ステートメント上で次回(7/21)理事会での25bp利上げを予告。利上げ幅とタイミング自体は市場予想通りながら、1か月前の公式予告は前代未聞。あと1か月の間、市場が不安定になるのを回避したかったためと推察される。
- 9月(9/8)はインフレ見通しの改善なければより強い利上げ(恐らく50bpのことを指す)。但し75bpや緊急理事会開催での利上げはなさそう。
- 今回の7月、9月のアクションイメージまでは(タカ派も納得の)全会一致。
- 中立金利(市場は1.5~2%くらいではないかと推測)については言及回避。
- 周辺国債の金利上昇、スプレッド拡大はそれほど心配していないような感触。但し、QT(資産売却)開始には極めて慎重なスタンス堅持。
上記プロジェクションの前提~EURIBOR3ヶ月物金利(先物)は足元この前提より30bp程度上(引き締め的)、但し原油もずっと上(インフレ的)
【ご参考①】今回のECBの決定に関する一般向けビジュアルな説明
Our monetary policy statement at a glance - June 2022 (europa.eu)
【ご参考②】独伊10年スプレッドはじわじわ拡大継続中ですが。。。。
Italy 10 Year vs Germany 10 Year Spread Bond Yield - Investing.com
ECBが多少金利上げても南欧諸国の財政が大幅に悪化することはありません。
オレンジ線(金利3%上昇で財政の金利負担がGDP比何%になるか)をご覧いただくと、概ね大したことないことが確認できます(今朝のハンデルスブラットより)。
【ご参考③】昔懐かしのテーラールールによると、ユーロ圏の現状に対して適正な政策金利は1.62%となっています(テーラー教授は、出遅れた分2-3%に早く上げた方がいいとおっしゃっていますが)。