新規感染者数が1日10万人を超え、入院患者数や死者数が増え始めるなど、コロナ感染状況が顕著に悪化しています。
コロナをもはやインフルエンザ程度にしか思っていない大半のドイツ市民に対して、ワクチン接種、マスク着用、入場制限などを新ためて義務付けるのは、既にインフレだけで不満爆発寸前であることを考えると、政治的に極めて危険です。エネルギー危機で落ち込みつつある経済に追加負担を強いるわけにもいきません。無料検査会場復活や電車や屋内でのFFP2マスク着用義務化などを求める声は高まっていますが、各種行動規制が今後強化される可能性はまだまだ低そうです。
いつものように直近データを虚心坦懐に確認しておきます。
ドイツの再生産数(赤線;R)が1.00を上回る状況がずっと続いており、冬場に向けて感染が加速しています。
国際比較に最も適したベンチマークである「7日間指数」(人口10万人当たり直近7日間の累計新規感染者数)でみると、日本(黄)の155人に低下しているのに対し、ドイツ(青)は761人と大きく上昇しています。
最近のドイツでは、多少具合が悪くても(症状が軽いうちは)PCR検査を受けない人が急増しているので、実際の感染者数ははるかに多いとされています。
市町村単位で見ると、直近週(右)はその前の週(左)に比べて、(濃い)赤色部分がドイツ全域で急増していることが確認できます。
年齢層別にみると、感染のメインが、35~59歳から60〜79歳の年齢層にシフトしてきました。既に死者が増え始めており注意が必要です。
ウィルスの種類としてはBA5:95.9%、BA2:2.0%、BA4:1.9%(いずれもオミクロンの一種)となっています。
オミクロンは、ワクチン接種や過去の感染で相応に重症化が防げるということが確認されており、新たな強毒性の変異種が広がっているわけではないというのは安心材料です。
これだけ新規感染が急増しているので、さすがにコロナによる死者も増え始めてきました。引き続き60歳以上の高齢者(青+橙)がほとんどです。
ドイツの死者数全体(今年:赤線、平年:青帯)も最近多め(超過死者数プラスで推移)となっています。
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2022/10/PD22_434_126.html
重症患者数(赤線、右側は予測レンジ)はコロナ専用病床(黄線)数を超えて急増しており、まもなく重症病床全体(黒線)も一杯になると懸念されています。
医療キャパに今後相応のストレッチがかかり、死者も相応に出るものと覚悟しておいた方が良さそうです。
ドイツ国民の77.8%が少なくとも1回以上ワクチン接種済という数字は動かず、ワクチン容認派は増えていません(全83百万人中、18百万人が未接種のまま)。
ブースター2回が10.4%と微増を続けていますが、60歳以上、医療・介護関係者、持病持ちが対象であり、ブースター1回以上の合計は62.2%と増えていません。
ひと頃は街のあちこちに設置されていたワクチン接種会場はほとんど撤去されており、ふらり立ち寄ってアポなしで気軽に打ってもらえる状況ではなくなっています。
Corona Zahlen aktuell: Karte für Deutschland + weltweit (morgenpost.de)