日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230105 当面の企業リスク管理のポイント

企業リスク管理アドバイザリー会社、International SOSが「今年のリスク見通し」を発表しました(世界108カ国のグローバル企業1208社~同社顧客~に対するアンケート結果を分析してアドバイスに昇華したもの)。

Risk Outlook 2023 | Five Predictions | International SOS

 

そのエッセンスがドイツ企業の観点からドイツ企業向けにドイツ語で解説されていましたので早速視聴しました。その中でなるほどと思ったポイントを以下備忘録代わりにざっと記録しておきます。

vimeo.com

 

企業のリスク管理は、①インテリジェンス、②地政学、③旅行、④健康、⑤メンタルヘルスの5つの切り口で整理すべき。

 

①インテリジェンス

  • 特定の目的を達成するための情報収集と分析(ドイツ語や日本語に対応する単語がない)。
  • リスク管理の出発点として極めて重要で、年々インテリジェンス対応のニーズは高まっている。
  • ①そもそも正しい情報にタイムリーにアクセスすること、と
    ②刻々と変化する状況(各国の規制など)を正しく理解する のが大変。
  • 安全と健康に関する情報は、特にフェイクニュースの対象になり易い点にも注意が必要。
  • 特にアジアやアフリカではそもそも信頼できる情報自体が入手困難なことが多い(当局が誤った情報を流す)。

 

地政学

  • 戦争・テロ、治安、社会不安など、物理的安全面を幅広く対象とする。
  • 自社のリスクエクスポージャーを整理した上で、状況分析に基づいて複数のありうるシナリオを策定し、それぞれに明確な早期警戒トリガーを設定してプロアクティブ対応するべき。
  • 社員は最近「常に危機モード」であることに疲れ始めている。社内コミュニケーションに工夫する必要がある。

③旅行

  • 各国の疫病対策(急な変更)、異常気象、交通渋滞、スト、出先での事故・体調不良など、出張時のトラブルは増えている。
  • その結果、出張に対する会社からのサポートニーズは格段に高まっている。実際に同社のヘルプデスクへの電話もコロナ前比激増している。
  • ドイツのセミナー会場におけるクイックアンケート結果:
    コロナ前比で出張量半減40%、25%減28%、同レベル22%、増加6%

 

④健康

  • 日々の健康管理/持病、疫病、環境(大気汚染など)起因の健康リスクを含む。
  • 起こってから反応するのではなく、プロアクティブに先回りすることが重要。BCPもしっかり準備しておく。
  • 15%の企業が「コロナの影響はもう全く勘案しない」としているのは危険/大変残念。社員の健康リスク管理の重要性はこれまでより格段に高まっている。

 

メンタルヘルス

  • メンタルヘルス問題に起因する生産性低下による世界の経済損失は推計1兆ドル。2030年には6倍になるとの試算もある。
  • ドイツで鬱などの何らかのメンタルヘルス問題を抱える人の割合は15~17.5%と、結構高め(日本は7.5~10%と低い)。
  • 自主性尊重+一体感醸成+成長実感「マイナス」プレッシャー で対応すべき。