日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230119 ドイツでますます遠のくマイホームの夢

 

 

ドイツの経営者団体傘下のシンクタンク:IW(@ケルン)から、本日ドイツ住宅市場の現状の課題について分析した報告書が発表されました。
Neue Herausforderungen für die Wohneigentumsbildung - Institut der deutschen Wirtschaft (IW) (iwkoeln.de)

 

私なりにポイントを整理すると以下の通りになります。

  • 建築コスト上昇(下添)、エネルギー危機、金利上昇などがドイツ住宅市場の強い逆風となっている。
  • 手頃な価格の住宅供給シェアは昨年大幅に減少。高所得者向けの手頃な価格帯の一戸建て住宅は、年初の62%⇒47%へ減少。中所得世帯では40%⇒28%。大都市ほどその減少が顕著。
  • インフレによる実質所得の目減りと金利上昇によるファイナンスコスト上昇のダブルパンチで、住宅購入意欲が削がれている。
  • 高価格帯物件ほど買い控えられているが、今のところ、住宅価格はこれまで大きく上がった割には大して下がっていない(黄:全体、黒:マンション、灰:戸建)。
  • 住宅買い控えによって、賃貸住宅需給がタイトになり、賃料が上昇し始めている。
  • 新築、賃貸両市場で、広告費までが大幅に上昇している。
  • 政策対応としては、①不動産譲渡税の調整(非課税枠引き上げや初回購入時免除/累進課税強化)、②低金利住宅ローン拡充、③住宅ローン保険導入などが考えられる。

 

需給がタイトな中での建築コスト大幅上昇のため、新築住宅価格の値下げは起こりにくくなっています。下がれば買いたい人がたくさんいるため、ドイツにおいてはバブル崩壊的な住宅価格急落はまず起こらないものと思われます。

 

不動産取引金額は、オフィス用、住宅用とも昨年激減しています。