ドイツ政府がポーランドに対して、旧東独由来のMiG29戦闘機のウクライナ提供を承認したことについてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。
- 東西ドイツ統一後、ドイツは東ドイツから24機のMiG29を引き継いだ。当時はまだ世界最新鋭の戦闘機だった。2004年にドイツはそのうち22機をポーランドに提供した。
- ポーランドは既にMiG29をウクライナに提供し始めているが、ドイツからの購入分についてはドイツからの輸出許可が必要となる。
- 今回ポーランドから旧東独由来分5機のウクライナ提供の申請があった後、ドイツ政府はわずか数時間で許可を出した。
- MiGは旧式戦闘機ながら、ウクライナ軍がすぐに投入でき、メンテナンスも容易。
- ウクライナはずっと戦闘機を欲しがっているが、NATOはロシアを刺激しすぎることを恐れてずっと慎重だった。以前自主的に引いていた一線(戦闘機供給)をドイツ政府が今まさに越えようとしていることを強く懸念する声もドイツ国内にはある。
- レオパルト戦車のケースでは、ドイツは何か月もの間ウクライナへの提供を渋り、NATO内で強い批判を浴びたが、今回はその教訓を生かして迅速な決定がなされた。
- ポーランドとスロバキアがすでに自国分のMiGをウクライナに納入しているので、ドイツだけが渋る理由もない。
- 特定兵器の納入を最初は渋り、かなりの回り道をしたり、微妙な正当化を行ったりして、最終的にはそれらを許可するというのはショルツ流「サラミ戦術」だ。これで確かにドイツが戦争に積極的に参画しているという印象を避けることがでているのかも知れない。いずれにしてもウクライナはサラミの次のスライスを永遠に要求し続ける。
- NATO諸国、特に米国は、西側の最新戦闘機をウクライナに提供することに依然として消極的。しかし、西側地上部隊の投入以外は何でも検討可能になりつつある。西側の最新鋭戦車投入でも大丈夫だったので、プーチンのレッドラインに対する懸念も薄れてきている。
- ロシア軍には占領地で防御線を確立する時間が十分あった。西側が多少兵器を供給したからといって、ウクライナが一気に有利になるなどという期待はすべきでない。
<MiG 29について>