日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230423 ドイツ企業倒産は今年2割増えそうだが、それでもまだ低水準

https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/04/PD23_162_52411.html

 

ハレ研が予告(下添リンク)していた通り、ドイツの企業倒産件数がジワリ増えてきました(上図)。まだ水準は低く、今後急増というわけでもなさそうですが、引き続き注視して参ります。

dateno.hatenablog.com

 

本件の関連で、信用保険会社アリアンツ・トレードのドイツ・オーストリア・スイス(DACH)地区責任者ミロ・ボガーツ氏が、Börsen-Zeitung紙のインタビューで語っていた内容のポイントをご紹介しておきます。

  • これまで主に政府の支援策によって生き延びてきたゾンビ企業(ドイツでは2割程度と言われている)がまず行き詰まり、その取引先も連鎖倒産に巻き込まれる可能性が高まっている。
  • アリアンツ・トレードとしては、今年企業倒産件数が22%増加すると予想
  • それでもコロナ前の2019年より5%少ないレベル。地政学リスクの大幅悪化でもない限り、大きな波のようなものが押し寄せてくる可能性は低い
  • ゾンビ企業ははっきりと目に見えているので、リーマンショック時のように予想外のところが火を噴いて不意を突かれるようなことにはならない。
  • 今年のドイツ企業にとっての試練は、金利負担だけでなく賃上げ(多くの企業で+7%くらいになる)の影響を吸収しなければならないこと。
  • 生産性が十分に上がらなければ、賃金上昇は国際競争力低下に直結する。
  • 仕入価格の上昇を販売価格に転嫁できない中小企業は、徐々に厳しくなる。
  • 特に小売(例:独靴小売大手「Görtz」が昨冬倒産)や、化学、製紙などのエネルギー多消費型産業が厳しい。