スウェーデンの首都ストックホルムで、亡命イラク人がコーランの写しを踏みにじった(スウェーデン当局は表現の自由として容認、当初はコーランや国旗を焼く計画だった)後、イラクのスウェーデン大使館が暴徒に襲撃され、イラク政府がスウェーデン大使を追放するという事態に発展しています。本件についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。
- 本来はコーランを踏みにじったり、燃やしたりする以外に何も思いつかない人が1人か2人であれば、特段大騒ぎすべきことではない。
- 一方で、そのような愚かで挑発的な行動は広範囲に影響を及ぼし、無分別な暴力の波につながる可能性があることに留意すべきである。
- スカンジナビア人は特にリベラルな伝統を維持しており、コーランや聖書などを公に批判する自由を保護している。
- その批判において敬意や寛容が保たれていれば問題ないが、扇動的行為が正当化されるものではない。
- 愚かなことをしたり言ったりする表現の自由がスウェーデンでは熱烈に擁護されている。
- しかし、表現の自由という絶対的概念に反抗的に固執するのではなく、本当に守るべき自由とは何かを考え直したほうがよい。
- イスラム教徒の聖書が燃やされたり踏みつけられたりしたとしても、それは誰の助けにもならない。喜ぶのは、憎しみ、暴力、反暴力の新たなスパイラルを望んでいる過激派くらいである。
- バグダッド政府も民衆の不満を外に逸らすために本件を利用している。
- 表現の自由にはルールと責任が必要。自由自体を絶対視すべきでない。
- 宗教的信念への軽蔑は、宗教的感情を侵害し、挑発する行為。コーランを燃やすことは明らかに限界を超えている。
- すべてのイスラム教徒に対する悪趣味な挑発は、政治的大問題を引き起こす可能性が高い。
- しかし、なぜスウェーデンのようなEU/先進国家が世界的宗教への侮辱を許し続けるのか理解に苦しむ。何か隠れた政治的利害でもあるのだろうか。
- 過去にも同様の中傷がイスラム世界の激しい怒りと暴力を引き起こした。ドイツでも同様の事態が発生するリスクがあるので、ドイツ治安当局は状況を注意深く監視している。
- 【ユーラシアグループのコメント】スウェーデン政府はこういったイスラム侮辱行為をスウェーデンの法律で禁止する力はないと主張している。それに対し、エルドアン大統領を含むイスラム世界の政府、指導者、国民は激怒している。スウェーデンのNATO加盟をトルコが覆すリスクが否定しきれない。
<日本語報道例>