2021年9月のドイツ連邦議会(下院)選挙のやり直し(投票用紙不足など投票所の運営に多数の不備があったため憲法裁に命じられた)が11日、ベルリンの一部(上図)で行われました。
ドイツの下院選挙は比例代表(併用)制ですので、ごく一部の有権者(55万人:全独の0.9%)の投票で議席の変動は予想されていませんでしたが、6月9日の欧州議会選挙と9月の東独3州議会選の前哨戦として注目を集めていました。
ショルツ政権(赤緑黄)の与党の得票率が減少し、FDP(黄)が比例分1議席を喪失しました。一方で野党のCDU(黒)とAfD(青)は得票を伸ばしました。
本件に関するドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです:
- ドイツの歴史の中で前例のない今回のやり直し選挙では、SPDの得票率大幅低下とFDP1議席喪失という形で、連邦政府への不満が明確に表れた。
- 難民対策や対ロ政策などで、メルケル前政権に一部の責任を押し付けても何も解決しない。現政権が明確な変化の一手を急ぐ必要がある。
- 但し、投票率は51%と極めて低く、ベルリン全体の投票率もやり直し前(2021年9月)の75.2%から69.5%に大きく低下した。国民の意思表明としてはやや弱い点には注意が必要。
- 選挙のやり直しに混乱なく整然と成功できたことは、民主主義の確固たるインフラという意味で一定の評価に値する。但しこのようなやり直し選挙は二度と繰り返してはならない。
- 最近の反極右デモの盛り上がりにもかかわらず、多くの選挙区でAfDの支持率が3割を大きく超え、一部の住宅区では過半数に達している。AfDの外人国外追放秘密計画がかなりの有権者を惹きつけてしまっていることを強く憂慮。