日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20240414 イランのイスラエル攻撃についてのドイツメディアの報道ぶり

Ein israelisches Raketenabwehrsystem wehrt Geschosse aus dem Iran ab

状況は流動的ながら、ドローンや弾道ミサイル(300発以上)を使ったイランによるイスラエル攻撃についてのドイツ時間4月14日朝9時時点でのドイツメディアの報道ぶりは以下の通り。

  • イランによる前例のない卑劣なイスラエル攻撃が断行され、中東情勢が不必要に緊迫している。イランによるイスラエル攻撃は初めてのこと。
  • イラン以外にヨルダンのヒスボラやイエメンのフーシ派も攻撃に参加。
  • ショルツ首相やベアボック外相は、ドイツ政府としてイラン攻撃を「強く非難」し、「イスラエルへの全面支援」を宣言。
  • イスラエルはイランによるドローンとミサイルのほとんど(99%)を撃墜し、大した被害は出ていないとしている。
  • それらの迎撃には米英仏やサウジなど中東諸国も直接間接に協力した模様。
  • 一方のイランは、シリア(@ダマスカス)のイラン大使館攻撃(イラン軍高官暗殺)に対する報復として大成功だったと主張している。
  • イラン国内では多くの市民が街に繰り出し、「よくやった」とお祝いしている(但し、大半のイラン国民は戦争に金を使うのではなく、生活を少しでも楽にして欲しいと願っている)。
  • これは正当な報復(正当防衛)なのだから、一切の反撃は許さない、とイランはイスラエルと米国に警告。
  • ネタニヤフ首相が反撃を自制できるかどうかが当面の最大の注目点
  • イスラエル外相は「イスラエル国内を攻撃されれば、イラン国内を攻撃する」と警告。
  • この局面で米国が軍事的支援を後退させれば、イスラエルにとって軍事・政治両面でこの上ないダメージになる(米国は今非常に大きなレバレッジを持っている)ので、バイデンがネタニヤフを自制させられる可能性が高い
  • 米国はイスラエルのイラン攻撃には一切参加しないとも宣言している。
  • バイデンはこれ以上のエスカレーションを回避すべく、ネタニヤフと緊密に連絡を取っている模様。
  • しかし、相手がハマスのテロ以降、ずっと窮地に追い込まれたままのネタニヤフを自制させられるかどうかはわからない。
  • ここまでやられてイスラエルが何もしなければ、ハマスのテロのような攻撃がまた起こる可能性がある。
  • イランは今回の攻撃で、西側の対応能力を十分に分析できたはず。本気で攻める時にはもっと弱そうなところを狙ってくる。
  • イスラエルがイラン国内の軍事基地への限定的攻撃に打って出る可能性は残る。ヒスボラへの攻撃や要人暗殺なども十分ありうる。
  • ハマスとの停戦/人質解放交渉がうまくいっていないことも懸念材料。
  • 更なるエスカレーションを望んでいるのは、ハマス、ロシア、中国のみ。それ以外の当事者はこれ以上の事態悪化を何としても回避したいと考えている。
  • 西側諸国は、不測の事態に備えて/抑止力強化のために、イスラエルに追加的軍事的リソースを集めている。
  • 本件は国際社会における重大な脅威なので、G7緊急会議を開催し、一致団結した対応を協議する。
  • EUは今までイランに甘すぎた。これまでとは異なる厳しい対イラン政策が必要。
  • 訪中中のショルツ首相は、中国にイラン支援をやめさせるよう強い圧力をかけるべき。

<日本語報道例>

www.bloomberg.co.jp

 

★こういう時に非常に頼りになる「Liveblog」類(TVのCNN等と併用するとよい)

www.tagesschau.de

www.spiegel.de

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