私が10EUR/月のライトメニューで定期購読している独3大全国紙の一角、Welt紙に、「ナーゲル独連銀総裁がZeit紙(高級週刊新聞)とのインタビューで『ドイツの今年のインフレ率は4%を大きく上回る』と語っている」と速報されているのを見つけました。
独連銀の公式インフレ予測(昨年12月公開)は3.6%ですし、Weltの記事には詳しく書かれていないので、これは原本をチェックする必要ありと判断し、早速行動を起こしました。
Bundesbankchef rechnet dieses Jahr mit Inflation von „deutlich über vier Prozent“ - WELT
WEB検索をかけてみたところ、さすがに無料では読めないことが判明しましたので、いつもの手段に訴えることにしました。
Joachim Nagel zur Inflation: "Die Inflation treibt mich um" | ZEIT ONLINE
それがこちらの「iKiosk」。ドイツの新聞雑誌はほぼ全てこちらで単品購入が可能ですので、高価な定期購読を避けて単品で凌ぐには便利なサイトです。
Digitale Zeitungen, Zeitschriften und Magazine als ePaper (ikiosk.de)
上記のリンクで掲載号(2022/7)を確認し、購入(pdfをダウンロード)。さっそく当該インタビュー記事(P22)を確認してみました。
(Bloomberg等で何がどの程度報道されているかわかりませんが)私なりに重要と感じたポイント(主旨を意訳)は以下の通りです:
- インフレが市民生活を圧迫しているので、ドイツ連銀総裁としては居ても立っても居られない
- エネルギー価格高騰が他の価格にも2次波及し、最近のインフレの半分はエネルギー以外なので、データをよく見て3月にもスタンスを変更すべき
- ユーロ圏ではまず危機対応の債券購入を止めて、それから利上げに入る(いきなり政策金利を上げたりはしない)というコンセンサスがある
- 初参加となった1月ECB理事会では、後手に回るべきではないと主張した
- 現在独連銀の専門家は、今年のインフレは年平均ベースで4%を大きく上回る可能性が高いと考えている(ヘッドラインになった部分)。この懸念は閣議の場で首相にも伝えてある
- 現在議論されているエネルギー減税などの実施によりインフレが下がるようなら、中銀も当然金融政策をその分軌道修正することになる
- ドイツのインフレは今年後半から下がり始めるが、高すぎる水準にとどまる見込み
- 今の状況が改善しないようなら、3月にも正常化を開始する。債券購入は年内には終わらせられるので、年内の利上げは可能
債券購入終了に向けたスピード感や利上げ幅などのマグニチュードを伺い知ることはできませんでしたが、現在の市場の織込みを概ね正当化する発言内容だったのではないかと思います。