ドイツ公共第二TV放送(ZDF)が毎月(1-2回)実施している世論調査「Politbarometer」が昨日アップデートされ、その中の政治家人気ランキング(トップ10)に動きがありましたのでご紹介します。
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前回(4/8)はハーベック経済・気候変動相兼副首相(前Green共同党首)が、ショルツ首相(SPD)を抜き、初めてドイツ政治家人気ランキングトップに躍り出たのですが、今回(4/29)はショルツ首相の人気度が急落したため、前回3位だったベアボック環境相(前Green共同党首、昨年の総選挙では首相候補だった)が第2位に浮上しました。
本世論調査で直接その背景が説明されているわけではないので、あくまで私見ですが、Green共同党首であるハーベック氏とベアボック氏は、ウクライナ危機への対応において、ロシア(と中国)に対して明快な強硬スタンスを貫いており、それが高く評価されている模様です。
一方ショルツ首相は、歴史的に長年親ロ路線を追求してきたSPD幹部としての立場が障害になっているのか、当初
「戦車を含む重火器をウクライナにうかつに供給すれば、核戦争や第3次世界大戦の引き金になりかねない。」
「ドイツ国防軍の戦力が低下すれば、ドイツ自身が十分な国防能力を維持できなくなる。」
などといった言い訳を繰り返し、いよいよ他に選択肢がないところまで追い込まれてから渋々方針転換したと受け止められています。
ドイツを代表する高級誌「シュピーゲル」はそのような政治状況を表紙でうまく表現してくれています(同誌は毎週末表紙だけでもチェックすることをお勧めします)。
Titelbilder und Heftarchive 2022 - DER SPIEGEL
ちなみに今回ウクライナへの供給が決まった重火器(戦車)は、同伴する自軍の戦車などを敵の戦闘機の攻撃から守るための自走対空砲であり、ロシアに侵入して攻撃することまで可能にする通常の戦車とは一線を画しています。
【ショルツ政権のキーパーソン達】
【当該世論調査の前回の結果についてのコメント】
20220410 ハーベック経済相がショルツ首相を抜いて政治家人気トップ - 日独経済日記 (hatenablog.com)