1999年のEUR導入時にECBウォッチャーランキング第1位だったDr. Wermuth(現在の私の大家さんでもあります)の直近分析コメントが大変興味深いので(私の補足/解釈も交えて)ご紹介します。
私がドイツ経済についてプレゼンする時は「日本の生産性もドイツのように引き上げたい」という気持ちから、いつも以下のようなくだりで始めています。
「ドイツは高い生産性と国際競争力を誇り、一人当たりGDP(生産性の一指標)は、
(これまでもそうだったが)今後も米国に伍す(日本や中国よりは高い)伸びを続ける見込み。」
しかし、上記のDr. Wermuthの分析によると、米独とも生産性のトレンドは
1%ちょっとにまで低下しているようです。
ちなみに、独米の労働市場は非常に対照的です。
米国では容赦ないfire & hire で資源配分の迅速な最適化が図られるのに対し。。。
ドイツでは操短(ワークシェアリングで解雇を回避する)などの工夫で、蓄積したスキルを散逸させないことを優先します。
生産性はほぼ同レベルなのに最近のドイツの一人当たり国民所得が米国に負けているのは。。。
ドイツの年間総労働時間が米国と比べて圧倒的に少ないためです。
上記諸点は、インターネットをフル活用した各種サービスが生産性を恐ろしく引き上げてくれるのではないかという直感と真っ向から対立しますが、これらは生活の質を高めこそするものの、電気、機械、エンジンなどの発明と違って、GDPを押し上げはしない(むしろデフレ的でマイナスになる)ということのようです。