先日こちらでご紹介したPrognosのレポートの中に、ドイツでガスが不足したらどうやって使用量を節約するかについて整理されていましたので、簡単にご紹介します。
20220714 ロシアからのガスが全部止まった場合のドイツ産業への影響 - 日独経済日記 (hatenablog.com)
①家庭部門
家庭の暖房の約半分がガスによるものとなっているため、産業界より優先的にガスを配分されることになっていますが、以下のような節約策が有力視されています:
- 暖房の温度を1-2度下げる
- 温水使用量(シャワーの時間、回数など)を減らす、温度を下げる
- 暖房を、プロパンガス、電気、暖炉などに切り替える
但し、ガス代自体は2~3倍となることがほぼ確実であるため、そもそもいずれガス代を払えなくなる人たちがたくさん出てくるという懸念は消えません。
②産業部門
いざという時、ガスは家庭や病院、学校などに優先して配分され、産業界は後回しにされるのですが、以下のような対策が急ピッチで進められています:
- 他の燃料(灯油、プロパンガス、石炭、電気)への切り替え
- ヒートポンプの導入
- オフィス・店舗の暖房温度の1~2度引き下げ
- ガスを動力とする車両の運行停止
これらがうまく機能すれば、ガス需要の23~25%(214~237TWh)は節約可能という結論になっています。
なお、上の表には記載されていませんが、家庭でできる対策として、
- 暖炉のある家では薪を燃やす(但し薪はすでに品切れ、大幅値上がり)
- 電気ストーブを買っておく
- ローカルバイオガス設備を急造して、そちらに切り替える
- 本当に困った人がいざという時暖を取るための公民館的避難所をつくる
- (3倍のガス代を払うくらいならそのカネで)ギリシャに長期旅行で逃げる
というアイデアもよく耳にします。