掲題についてのスイス/ドイツのシンクタンクPrognosの分析結果をご紹介します。
Lieferausfall russischen Gases – Folgen für die deutsche Industrie (prognos.com)
7月以降、ロシアからドイツへのガス供給が完全に止まったままになった場合には、【結論】ドイツにおける経済損失総額は193億EUR、波及効果を含めてGDPを▲12.7%押し下げ、560万人の雇用を脅かす。
★(図右)赤線:確保可能なガス量<青棒:節約措置(灰部分)実施後の需要
ガスの優先供給を受けられないことになっている産業界では需要の37%しか確保できない(優先供給を受ける家庭、病院などは93%)。
★このガス供給不足による直接的生産低下(年後半半年分に対する減少割合):
①ガラス▲47.8%、②鉄鋼▲34.0%、③セラミック▲32.5%、
④食品▲32.0%、⑤印刷▲31.4%、⑥化学▲31.4%、⑦繊維▲31.0%、
⑧ゴム・プラスチック▲26.7%、⑨製薬▲24.3%、⑩木材▲21.5%
★波及効果も含めたGDP押し下げ寄与度:
①自動車▲0.6%、②食品▲0.5%、③化学▲0.4%、④金属▲0.4%、⑤機械▲0.3%
建設▲0.5%、サービス業▲7.6%
<以下、関連バックグラウンドデータ>
●ドイツにおける天然ガス需要(2021年実績)
左側(青):供給不足の際に、現行法でガスが優先供給されないサイド(52%)
産業36%(うち24%がエネルギー用、材料用は4%)、発電15%
右側(橙):ガスを優先供給されるサイド(48%)
一般家庭30%、病院、介護施設、警察、軍など12%、公共暖房設備6%
●産業別需要:化学(一番上)、鉄鋼(4番目)の使用量が多い
●天然ガス輸入先(四半期毎)
~2022Q2、ロシア比率(一番下の濃青)は22.4%(52/232)まで押し下げに成功。
●ドイツ国内でも少しだけ天然ガスがとれるが、総需要の5%(47/938)とわずか。
●直近5年の天然ガス備蓄パターン~今年は赤線 足元6割でとまっている
●月別需要パターン~冬場(10月~4月)に家庭用暖房需要が増える。