日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20220905 ドイツ経済、過度の悲観は禁物です

毎週月曜夕刻(ドイツ時間)にドイツ連銀(中央銀行、ECBのドイツ支店に相当)から、ドイツのGDPの動向をリアルタイムにつかむためのインデックス「週次経済活動指数(WAI)」が発表されています。

欧州のリセッションリスクに注目が集まる今局面で、ユーロ圏GDPの約3割を占めるドイツGDPのモメンタムを毎週確認する価値はある思います。


Weekly activity index for the German economy | Deutsche Bundesbank

20220830 ドイツGDPのマイナス度合いモニタリング - 日独経済日記 (hatenablog.com)

 

現時点でWAIが示している2022Q3GDP(10月末発表予定)は「前期比▲0.2%ペース」(WAI自体は前週比0.1改善)となっています。今後マイナス度合いが悪化するかどうかを引き続き注視してゆきたいと思います。


ちなみに、ロシアからドイツへのガス供給は先月末以降完全に止まったままで、

Energiemonitor: Die wichtigsten Daten zur Energieversorgung – täglich aktualisiert | ZEIT ONLINE

 

それを材料に欧州における天然ガス卸売価格(TTF)が確かに強含んではいるのですが、

EU Natural Gas - 2022 Data - 2010-2021 Historical - 2023 Forecast - Price - Quote (tradingeconomics.com)

 

ドイツでのガス節約はかなり進んでおり、

 

ガス貯蔵はロシアからのガス供給完全停止後も着々と前進しています(貯蔵容量対比での備蓄率は毎日0.2~0.5%上昇し、足元85.6%に到達)。


 

安易な楽観は禁物ですが、これだけあれば2~3ヶ月分のガス需要は充足できるため、今後進むであろう液化天然ガスの調達・貯蔵と併せて考えると、このままロシアのガスが止まったままでも、今年の冬は何とかギリギリ越せるのではないか、という見方が浮上しています。

 

ひところ心配された干ばつリスク(ライン川の水運マヒ)も今や全く懸念不要の状況となっています。

https://vorhersage.bafg.de/14-Tage-Vorhersage/Kaub_14Tage.pdf

 

いずれにしても、いざという時の欧州の粘り腰は日本の比ではない(欧州債務危機やコロナ危機への対応で実証済み)ので、過度の悲観は禁物と思います。