これから価格転嫁が本格化するガスや電気と違って、ガソリン価格は下図の通りすでに結構下ってきています。
●スーパーガソリン(CPIの中のウェート2.6%)
年初来+3%、戦争開始時比▲2% ~前年同月とほぼ同じ水準
●ディーゼル(同0.9%)
年初来+10%、戦争開始時比+16% ~軽油からディーゼルと暖房油を精製する
にあたり、暖房油の方が高く売れるので
ディーゼルの供給がやや抑圧されている
上図網掛け部分のガソリン減税(3ヶ月限定)期間を含めても、ウクライナ戦争勃発後の最安値付近にまで値下がりしてきているわけですが、これは川上のブレント価格(下図)の低下を素直に反映した結果です。
その他、ガス、暖房油、電気(グラフ上から順)も最近同様に価格が低下してきています。但し、多少下がったとは言っても、前年同期比での上昇率はまだまだかなり大きく、CPIを押し上げる圧力となっています。
●ガス(同1.4%) 年初来 +2% 前年同期比+100%(前年比CPIを1.4%押し上げ)
●電気(同2.6%) 年初来+94% 前年同期比+32%(同2.4%押し上げ)
●暖房油(0.7%) 年初来+45% 前年同期比+54%(同0.3%押し上げ)
なお、以下エネルギー関連のご参考です:
●EUではガスを15%節約しようと呼びかけていますが、ドイツは2割程度の節約を頑張って続けています。
●今後のガス備蓄残高のシミュレーションによると、下図の点線の範囲内の軌道をたどると予想されているのですが(下の/色の濃い方に行くほど量が不足して危ない).....
少なくとも今のところは平年よりやや高めの気温が続いているので、最悪のシナリオ(ガス不足で強制配給発動)が実現してしまう可能性は低そうです。
Klimatrend für Deutschland: Das sagen die aktuellsten Messungen und Temperaturprognosen | wetter.de
●なお、ドイツの再エネ拡充計画は、今回のエネルギー危機に伴う反省と危機感をバネに、今年分の高い目標をほぼしっかりこなす形で着実に前進しています(黄:太陽光。青:風力)。
<上記の大半のグラフのソース>
Energiemonitor: Die wichtigsten Daten zur Energieversorgung – täglich aktualisiert | ZEIT ONLINE