先ほどドイツ連邦統計局から8月のインフレ統計が発表されました。
速報値(前月比+0.3%/前年同月比+7.9%)がそのままコンファームされただけなので、マーケットにとっては特に目新しい情報ではありませんが、中身の詳細が出たのでざっと見ておきます。
- インフレ押し上げの主犯は引き続きエネルギー(赤)と食品(ピンク)。両者(ウェートは各10%で計20%)を除くコアインフレも+3.5%と高水準(続伸)。
- 9月から廃止された「9ユーロ切符」と「ガソリン減税」は、インフレを1%程度押し上げる見込み。
- エネルギーのベーシス効果がヘッドライン押し下げに効き始めるのは来年2-3月以降なので、年内はインフレ高止まりが必至の情勢。
灯油(ピンク)、ガス(黒)の値上がりが厳しく、ガソリンや電気も平時比3割増し。冬場に向けて暖房費を支払えない世帯が激増するという懸念がくすぶり続けています。
なお、消費者物価(赤)の川上/先行指標である輸入物価(青)と生産者物価(黒)はともに上昇継続中/ピークアウトの兆しなしという厳しい状況です。
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2022/09/PD22_383_611.html
このような状況下、製造業最大手の労組であるIGメタル(ドイツ金属労組)は、インフレによる実質所得の目減りを補填すべく、8%の賃上げを要求しています。
仮にこの半分の4%で妥結すると仮定しても、現在のようにあちこちで非効率が発生している局面で生産性が+2%以上伸びる可能性はまずないので、賃金サイドからもインフレを中銀目標の2%以上に押し上げようとする圧力がかかり続けるということになりそうです。