日独経済日記

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20221220 ドイツから見たカタールW杯総括

 

カタールW杯全体について、ドイツメディアで語られている主なコメントをご紹介します。

  • 全体として、ワールドカップカタールにとって大成功だったと言える。
  • スタジアム内のアルコールを禁じたこともあり、フーリガンなどによる揉め事は殆ど起こらなかった。運営としては過去最高だったかもしれない。観客の満足度は高かったはず。
  • (主催国カタール代表のふがいなさはあったが)試合内容も全体に充実していた。欧州、南米以外(アフリカ、アジア)のチームのレベルが上がり、差は縮まっていた。
  • 特に決勝戦は素晴らしい試合で、アルゼンチンは世界チャンピオンにふさわしいパフォーマンスで優勝を勝ち取り、経済的苦境が続く母国を熱狂させた。
  • アルゼンチンの優勝が余りにも感動的(36年ぶり+メッシ英雄化)だったので、それまでのネガティブな社会政治議論が全て吹き飛んで忘れられてしまいそうだ(「命を奪われた外国人労働者たちこそ、この感動的決勝戦の最大の敗者」という表現も)。
  • ヨーロッパからの継続的な批判(汚職&人権抑圧)は、アラブ諸国の団結をかえって強めた。モロッコの活躍をアラブ世界全体が狂喜しながら応援した。
  • メッシに黒マント「ビシュト」を来てもらうのは別の場所にすべきだった。アラブの伝統文化とはいえ、アルゼンチンのユニフォームが隠れてしまったのはあまりにも気の毒。
  • そもそもカタールへのガス依存が強すぎて、ヨーロッパの上から目線の価値観押し付けは悲しいくらいに封じ込まれた。
  • (捜査途上ではあるが)EU議員のカタールとの癒着発覚もヨーロッパにとってはこの上なくバツの悪い展開となった。
  • それでも選手たちが政治問題に積極的に取り組んだことは評価すべき(他の大会ではほとんど見られなかったことに挑戦した)。特に国歌を歌わなかったイランの選手たちの勇気は賞賛に値する。
  • 続投が決まったフリック監督は、2024年の欧州選手権までに、選手の若返りを進めつつ(モロッコのような)勝利に対する強いこだわりを復元しなければならない。