インフレと金利上昇のダブルパンチでドイツの建設受注が急減しています。
直近2022年11月分はインフレ調整後実質ベースで、前月比▲5.6%/前年比▲12.7%となっています。
ドイツ建設業協会(ZDB)は連日のように以下のような悲鳴を上げています。
①建設全般(2/1)
- エネルギー危機のため、建築資材価格が急騰。特に鋼材類は前年比4割増。
- 建設費高騰分は価格転嫁せざるを得ず、その結果、例えば2022年の新築住宅価格は前年比で年平均16.4%と1958年の調査開始以来最大の上昇。
- 価格が上がれば当然需要は減少するが、このままだと供給側が生産能力削減を強いられる。
- そうなると、これからのドイツに最も必要な、住宅供給、インフラ整備、エネルギー転換推進がいずれも進まなくなる。
- 一刻も早い政策発動を要求する(公的入札ポータル整備、承認プロセス迅速化、補助金拡充、不動産譲渡税軽減、公営住宅建設特別減価償却拡大など)。
②住宅(1/25)
www.zdb.de
- 11 月の住宅建設受注は前年比名目▲18%、実質で▲29%もの減少を記録。
- 利上げで金利がほぼ2 倍になった上(下図、ドイツ連銀データ)、インフレで生活費と建設費が大幅に増加したため、人々の住宅購入の夢は打ち砕かれている。
- 2022 年にはウクライナ難民を中心に人口が100 万人以上増加したので、住宅不足はますます深刻になっている。
- 雇用を守るためにも政策支援が必要。
●週次でトレースできる新規モーゲージ件数はその後も軟調が続いており、今年1月下旬時点で前年比ほぼ半分にまで減っています。
●GDPに対する不動産業のシェアは5.9%