日独経済日記

日独間の架け橋となることを目指しています

20230210 ドイツ対中貿易赤字(対中依存度)激増

(紺:輸入全体に占める中国の割合、灰:同輸出、黄:対中貿易赤字年額~10億EUR

 

ドイツ経済研究所 (IW、経営者団体傘下、@ケルン) の推計(公式統計は未発表)によると、ドイツの対中貿易赤字は昨年841億ユーロ(GDPの2%強)に急拡大し、これは中国への過度の依存であり台湾有事の際に極めて危険と警鐘を鳴らしています。


2021年に既に対中赤字は394 億ユーロに達しており、危険視されていましたが、昨年はその2倍を超える規模に急拡大しています。世界有数の輸出競争力を誇る輸出大国ドイツですらこのような赤字になってしまうわけですから、尋常な状況ではありません。

 

ちなみに日本の昨年の対中赤字は5.8兆円(416億ユーロ相当、GDPの1%強)でドイツの半分くらいの規模感です。

 

IWはドイツの対中貿易赤字拡大の要因として以下を挙げています。日本に対してもまるまるそのまま当てはまると思います。

  • 中国は大規模な政府補助金により、中国製品の安価な販売を後押ししている。
  • ドイツ企業はエネルギー危機などによるコスト圧力に苦しんでおり、高価なドイツのインプットより、安価な中国のインプットに依存せざるを得なくなっている。
  • 中国は西側諸国からの輸入への依存度を下げ、自国での生産量を増やそうとしているため、中国への輸出がますます困難になっている。
  • 中国政府は、在中ドイツ企業に対し、中国企業サプライチェーンに組み込むよう政治的圧力を強めている。
  • 多くの在中ドイツ企業は、輸出の代わりに現地生産市場にサービスを提供しようとしている(対中直接投資を増やしている)。